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ギリシア悲劇〈2〉ソポクレス (ちくま文庫)

価格: ¥1,260
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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たまには叙事詩も ★★★★☆
ソポクレスの叙事詩って、なんかなめらか。エウリピデスや、「アイネーイス」は読んで、想像して、理解するのに、あるテンポ時間ががかったけど、ソプクレスは自然に詩の中に入れる感じ。 ①アイアス最も優れた勇者に与えられる、アキレウスの武具をめぐる対決でオデッセウスに負けてしまうアイアス。最期、とても切ない果て方です。オデッセウスが出てくると、どこか安心する。頭がよく、良識のある人ってイメージで。アガメムノンは、きゅん的にはもっと知的なイメージだったので、びっくり。目上の将に対しても、少しも揺るがず堂々としたテウクロスがすばらしい。自分に対しても、こんなに真剣になってくれる人っているかな。て思ってしまう。 ②トラキスの女たち瀕死のヘラクレス、死にかけてるのにセリフ長いっっ。そのせいか苦しみがリアルに伝わってこない気が(笑)思いがけず、ヘラクレスを殺すことになってしまう妻デイアネイラには、ほんと同情(泣)なんでこうもみんな浮気性なんだろう。③アンティゴ>ギリシャ古典って、死んだ人をどう扱うかを、言い争う話が結構多い。昔の日本や中国だと、反逆者は、有無を言わせずさらし首。ギリシャだと、たとえ反逆者でも、死んだら手厚く葬ろう、ていう意見の人が必ず出てきたりする。魂に対する考え方の違いなのかな。 ④ エレクトラアガメムノンの子供達>夫アガメムノンを殺した母親と、その浮気相手に復讐をする物語。ただ母親は、夫によって自分の子>ギリシアのために人身お供え(生贄)にされているので、アガメムノンを憎む気持ちもすっごく理解できる!きゅんだって、どんな理由があろうと、自分の生んだ子を人身お供えにされたら、絶対許せないと思う。でもこういう「悪は滅びる」的な悲劇は、安心して読めるー。エレクトラの妹が、弟オレステスの髪を見つけたことを報告するシーン、これから何が起こって行くのかと考えると、わくわくしたっ。⑤オイディプス王気味悪い話だけど、面白かったオス王殺しの犯人を突き止めていくのですが実は自分が犯人だということが分かってきて、更に自分の出生の秘密も明らかになり、なんと彼は、自分の母親と、結婚してたのです。恐ろしい運命のいたずら。クレオンさん、いつも変な役ばかりだけど、今回は、まともっ。⑥ピロクテテスタイトル見ただけで、わくわくっ。足を毒蛇にかまれた、弓矢の名人ピロクテテスは、傷口からのあまりの異臭に、オデッセウスに島に置き去りにされる。でも、ピクロテテスの持つヘラクレスの矢と、彼の弓の腕がトロイア戦争に勝つために必要となり、オデッセウスとネオストモレスが、彼を迎えにいくのです。オデッセウスが、感じ悪くてびっくりした!ネオストモレスが好青年してます♪格好いいです♪このソポクレス戯曲集の中で、この話が一番好き! ⑦コロノスのオイディプス稲妻が轟き空が荒れ、オイディプスの最期が来るシーンは、映画の1シーンのよう。オイディプスが死によって、テセウスに残したものは、何だったんだろう。
名誉の大切さと運命の過酷さ ★★★★☆
ペロポネソス戦争で没落しつつあるギリシア・アテナイに生きたソポクレス。彼は多作であり、生涯に123の劇を制作し、うち90余りについては断片またはタイトルが伝わっているが、そのうち完全な形で現存するのは七編にすぎない。本書はオイディプス王の悲劇に題材を取った「オイディプス王」、「アンティゴネ」、「コロノスのオイディプス」をはじめ、トロイア戦争に関連した「アイアス」、「ピロクテテス」など現存する七編すべてを収録。

全七編を通して一貫しているテーマは、名誉の大切さと運命の過酷さで、当時のギリシア人の世界観や哲学が色濃く反映されているように思います。とはいえ、名誉を守ろうと戦う人の姿、運命に翻弄される人の姿は、時代を超えて心を打つものであり、そうした問題に真っ向から取り組んでいるソポクレスの作品は、まさに古典と言えます。

名誉とそれにまつわる仇討ちについては、ソポクレスの多くの劇を通してのテーマとなっていますが、特に勇者の死体を埋葬する・しないの形で問題提起されるケースが多いようです。つまり勝った側に、敗者への配慮を求めているわけです。そして「アイアス」が良い例ですが、驕る人間に対しては、ギリシアの神々が天罰を下します。驕ることの愚かさを描き、警鐘を鳴らしていると言えそうです。そうした倫理観は現代に通ずる重要な哲学で、今なお意義を失っていないのではないでしょうか。

また「オイディプス王」で顕著ですが、特に運命の過酷さを描くにおいて、ソポクレスは、本人に原因があるわけではないのに、過去の呪いから事件に巻!き込まれ、悲劇的な結末を迎えてしまう人々の、どうにもならない苦悩を謳いあげており、その圧倒的な悲劇性は類を見ません。未だに読み継がれているゆえんでしょう。