日本人だけでなく世界が読むべき本
★★★★★
センセーショナルなタイトル以上に、内容は重く正統派の近代ドイツ史の作品。
本書は本来、我々日本人ではなく、ドイツ人自身、欧米諸国の人々こそ読むべき作品だと思う。
筆者には、ぜひ本作品を英訳・独訳し世界に向けて発してもらいたい。
ナチスだけが悪いのか?ヒトラーだけが悪魔なのか?大部分のドイツ国民も当時はナチスに陶酔し、間接・直接的に支持し
利益を享受していたのでは、という私の漠然とした日頃からの想いは、本作品によって確信に変わった。
我が国との対比で、ドイツの「戦後」への対応は好意的に描かれることが多いが、むしろ、まだ戦後は終わっておらず、
これら過去に真正面から向き合う時期が来るのだろうと思う。
臨場感あふれる兵士たちの表情、出撃シーン、戦闘シーンが描かれており、一方で、歴史的背景や事実、当時の戦況も
うまく補足されており、内容は非常に濃いにも関わらずスムーズで読みやすいのはさすがベルリン駐在したプロのジャーナリストの作品。
近代ドイツ史をライフワークに、冒頭の外国語訳とともに、続編、新たなる作品も期待したい力作で良書。