雪解けのように優しい竹善氏の声に導かれ、夏川りみの春の風が吹いてくる一曲目。作品主題の魂までしっかり奏でられている、と覚えるさすがの始まりです。続きAORにおける日本語の鳴り方さえクールな「Something〜」は男の哀愁。
注目「amanogawa」では流れる安定感。最後にSOSにも主旋が回り、声のリンクが絶妙です。師弟の流れは続き「生まれ来る〜」へ。さすがの声の入り方でいのちこもってます。曲の主題が完璧に存在したのは、ハートばかりでそのテーマに臨んだからではなく、やはり技術として竹善氏が「間」で聞かせ「凛」とした響きでうたうから、ことばが立ってくるのでしょう。
作品は泣かせる曲順で「木蘭の涙」。コブクロのハモリで厚みが出たところに真直ぐ芯の通った竹善氏の声。そのハーモニーもコブクロらしい柔らかさが曲想に合っていました。「はじまり〜」は歌い方を見るとASKAの表現より物語に透明度を加えた感じ。すると曲の持つ優しさの面が表れ、この曲の伸びしろを感じました。

後半はお馴染み洋楽王道で泣かせてくれます。「Honesty」は声の琥珀色の輝きにもっていかれ、一方「Watcha〜」「What〜」の本格ファンク感は久保田氏以外では竹善氏でないと、といえるトラック。「Desperado」はもはや神様が降りてきているものでしょう。「Change〜」はクラプトンへの造詣の深さから自曲のよう。間奏のChar氏の泣き所もいいです。「Take〜」はクラブジャズ的でクール。akikoの歌力も竹善氏に負けていません。他方「Love’s〜」ではTAKE6を向うに回しても声の美しさとバランス感の良さがさすが。「トーキョー〜」のメロの良さは竹善氏の声を得て当に聴き所。最後に締める「Last〜」は生楽器のクールなアレンジが堪能できた今作の代表的存在かもしれません。

佐藤竹善は最高です。彼を好きになって１０年以上がたちますが、彼への興味は薄れることを知りません。声の伸びやかさ優しさ暖かさは何を歌わせても日本一です。でも彼を知らない人が多すぎる。。またそれがいいのかもしれないけどね・・・。

できれば佐藤竹善という邦楽AORの宝物を、こういう作品から10代に知ってもらいたいな、という一枚。何故なら洋楽邦楽ともにスタンダードナンバーがとりあげられているから。或いは、上質のPOPSを知ってもらいたいと思うからです。
カヴァー作品を多く手掛けてきた彼らしく、自分らしさと曲へのリスペクト両方から生まれる、新しい独創性を曲に持ち込むうまさがあるからこそ、というわけです。
まあ、しかしそんなものは聴いてみたらすぐわかることなので、この作品は永く残っていくことでしょう。実際今作で夏川りみ、コブクロ、TAKE6やSOSとのコラボの中で佐藤竹善の音楽的な求心力を感じられます。また彼らと声をあわせる上手さは、小田和正・鈴木雅之と仕事をしてきた彼だけに、ここで仕上がった音がとても一級品のような気がします。

4.生まれ来る子供たちのために、5.木蘭の涙、6.はじまりはいつも雨、といったベテラン勢のカヴァーができるのも、佐藤竹善のカバー作品の特徴でしょう。勿論最近のカヴァーバブルで小田氏らの曲はどんどん歌われていますが、小田作品への理解力の点で、他とは一味違うことを味わえるはずです。また注目すべきは「はじまりはいつも雨」。飛鳥涼の作品というのはどれもこれも難解なコード、高度な発声テクで保つピッチなど、あまりカヴァーされたがらない傾向があります。その中で、これを選択できるのはもはや竹善さんくらいなのかなと、珍しく飛鳥が取り上げられた点を思いました。

後は勿論、竹善さんの豊富で深い洋楽知識と英語力から奏でられる、AORのスタンダードたちを存分に楽しんでもらいたいと思います。

カヴァー曲の英語の発音と歌の上手さは絶品！
これだけのアーティストですから、セッションやカヴァー以外のオリジナルを聞かせてほしいと常々思っていましたら…
満を持して、ニューシングル「今日も君に恋をした」＆ニューアルバム『Okra』のリリース。
自然体の 40代の竹善さんのメッセージが じんわりと伝わってくる…素晴らしいアルバム（楽曲）です。
新譜も是非聞いてほしい♪

偶然か個人的な思い入れが強い曲がDVDを含めても
たくさん収録されていたので、ワタシとしてはかなり満足できました。
多分しばらくは、ワタシの車はこればかりリフレインされていると
思います。
どこかで聞いたことのあるメジャーな曲が多かったり
洋楽のカバーにしてもきれいな発音で歌っているし、
嫌味のない作品に仕上がっているのではないかと思いました