この時期はツアーも減り売上も減り、客観的に見て田島自身の「凋落」の底辺の時期でもあった。ありていに言えば「どん底」の時期だ。しかし、その位置だからこそ見える「光」が見えるアルバムでもある。
とくに「水の音楽」は田島貴男の乾坤一擲の大傑作。湧き水がちょろちょろと吹きだすところから、濁流のように轟々と流れるさままで、音楽だけで水の質感がすべて表現されている。しかし表現のための音楽(たとえばスメタナの「モルダウ」みたいな)なのではなく、あくまでも「ポップス」なのだ。なにもかも剥ぎ取られ、剥き出しになったところからこれほどの曲を生み出せるとは。これこそが彼の「才能」の真髄なのだろう。この曲を聴くためだけにでも、このアルバムをきいて欲しい。
でも高校生の当時かなり聞いていたし、オリジナルラヴだけあってコードやメロディーの展開は良い。水の音楽はかっこ良かった。