プロセス・アプローチによる役割等級人事制度とは!
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賃金体系・人事制度に関する書籍は数多く出版されていますが、その多くは賃金・人事の制度をいかに導入するかというテクニックに主眼を置いたものであり、企業経営=人件費削減を前提として画一的な制度設計に終始している感が否めないものとなっています。しかし、本来人事制度はその企業の風土を捉え、内在する課題を解決するためにあるべきものではないでしょうか?
本書では、人事制度は経営戦略、マーケティング戦略、生産戦略などの広い視野をもって、顧客を満足させることができる経営課題対応型であるべきこと、そして、その達成のために、個々のプロセスを遂行する人材のあるべき姿を追求して人事制度を構築する、社員の「やる気」を導きだせるプロセス・アプローチによる役割等級制度を提唱しています。
本書の構成は大きく二つに分かれています。前半では、賃金の歴史的な変遷を捉えることで、賃金の本質にスポットをあて、人事・賃金の基本概念が会話形式で解説されています。後半では、プロセス・アプローチによる役割等級人事制度の設計手法が着手から、実際の導入まで、順を追って解説され、さらに、実在の企業における導入事例が紹介されています。制度設計に際し企業に関わったとき、社員の反応はどのようなものか、どのようなトラブルが生じ、どう解決していったのか、そして、企業が、社員がどのように変わっていったのか、実在の企業の経営者、担当者の生の声を知ることができる特筆すべき内容となっています。
人事制度構築にあたっての基本概念を知るための解説書として、そして実際に人事制度構築に際しての実務書として、企業経営者、人事担当者からコンサルタントまで、人事制度に関わる者にとって役立つ内容の濃い書籍としてお勧めしたいと思います。