パナマ運河をめぐる画策
★★★★☆
パナマで仕立て屋を営む男の下にある日突然イギリスの諜報部員がやってきた。
隠していた秘密を守る為、金の為に仕立て屋は彼の情報提供者となる。
そして仕立て屋の情報を基に、イギリスの政府が翻弄され、とんでもない結果となっていく。
流石ル・カレ氏の作品である。詳細までが緻密に描かれている。そして外交というものが一体どのように行われているのか、運河をめぐってどのような思惑が存在していたのかをうかがい知る事ができた。
ただ事情が非常に込み合っているのと、元々外交部門のスペシャリストだったルカレ氏が書いているイギリス諜報部の実情が「まさか・・・」という内容なので、「どこまでが真実にもとづいているのだろうか」とか、「本当にこのように諜報活動や外交が行われているのか」、と真実と虚構の境界がわからず頭がごちゃごちゃになってしまった。
時折このような本格派ミステリーで世界情勢をじっくり考えてみる事も必要かもしれない。