~鎌倉の「宗教都市」という側面に焦点を当て、寺院を中心に、中世にそこで何が起こっていたかを解説してくれている好著。
大仏、鶴岡八幡宮等の名所についても、木造大仏の謎、本地垂迹説等、歴史的観点から新たな発見を与えてくれる。
また、普通に鎌倉に行くだけでは、通り過ぎてしまいがちな、マイナーな寺院についても、歴史を紐解くと意外な発見がある~~ことを教えてくれる。
「古寺」というタイトルとはいえ、陰陽師等の、仏教以外の宗教状況についての解説があるのもうれしい。
この本を片手に鎌倉を歩けば、新たな観点からの鎌倉巡りができる。
ただ、『歩く』というタイトルの割には、地図が簡素なものであったのは残念。実際に歩くなら、通常のガイドブック、地図等をこの本の他に持っていかなければ~~ならないだろう。この点で星ひとつ引かせてもらったが、それ以外の点ではすばらしい本であった。~