その謎とは別のところで、親子関係の確執があり、恋愛があり、のろいがある。でも、それすらも、この物語の謎に繋がっていくような予感がする。複雑に絡まりあった蔓のようなストーリー。
1ページの情報量もすごい。視点がどこかに偏ることなく、全部の主人公、全部の出来事を読者に伝えるこの見事なバランス! ひとつの画面に三人の人物の心情が同時に吐露されているところとかがあって、うっとりする。
あれだけ多くの傑作をうみだし、またこれほどのものを生み出す萩尾望都ってすごすぎて、なんて言えばいいのかわからん。
創作として完全なオリジナルは存在しない、既存のものをどう応用し、融合するかだ――とは誰かがどこかで言ったことでしょうか。とにかく、この作家の応用と融合の力は傑出している。その方法自体が美であり、詩だ……ちょっと書いていて気恥ずかしくなりますが、ほんとうにそうだと思います。
さて、1巻からは予想もつかなかった展開とエピソードが用意されています。クローン、BSE、臓器移植。なるほど、萩尾さんはこんなところに興味を持って、日々知識を補充しているのだな、とはみなさんも感じるのでは。この巻ではトキオの命にも危険が……。重要なテーマのひとつであるらしい親と子をめぐる関係は、これからどう描かれていくのか。アオバとキリヤの存在を鍵にして存在している二つの世界の行く末は? 物語の最後はそれを見せてくれるためにあるのでしょうが、あちこちに置かれた布石が意味するものは何なのか。早く3巻が読みたい!!
往時の「ポーの一族」の不気味さと、「精霊狩り」のファンタジー、「スター・レッド」の赤い星に向ける愛、そしてエヴァンゲリオンなども、この巻では脳裏をめぐりました。文句なしの、おすすめです。
火星の生命体の夢、若返りの薬、夢と現実、キリヤの出生の謎などなど。第2巻でなにかわかるかと思ったら大間違い。謎が謎を呼び、何と何とが関係があるのかないのか。。。?ますます混沌としてきました。しかし、青羽のポルターガイスト現象ってすごすぎ。