どうしてこんな絵本なのかといえば、どうしてもなのである。
★★★★☆
なんともいいかげんな絵本ですね。これ。
ドラマチックな展開があるわけでもなく、あっというオチがあるわけでもない。
話しとしては淡々としたもので、こんな調子で5巻も出ているというのが驚きです。
特徴をあげるとすれば、自由気ままにコラージュを駆使した画面や、人間と動物キャラ
(本作ではゴキブリのペンキ屋が登場)が混在している世界がかもしだす、
奇妙なリアリティでしょうか。
コラージュといっても、デザイン的にシャレたものではありません。
まだ乾ききってない糊や絵具の匂いが画面から漂ってきそうな、ぶきっちょ感があり、
かえってそこに、人間味や親しみを感じ取ることができます。
本作ではセーラーとペッカがジャクソン婦人の家の壁紙を張り替えます。
壁紙を買って、部屋を片付けて、糊をぬって、張り替えてと、律儀に順序だてて
展開していくのです。ちょっといいかげんな絵柄のキャラだけに、彼らが
真面目に作業を行う(時にはミスをしながら)様子は、かえって現実味がありました。
絵本に描かれている世界が、地球の片隅に実在していると錯覚してしまいそうです。
と思っていたら、ちゃんと巻末には証拠写真が!
彼らは本当にいたんですね(笑)
スウェーデンを感じる、何度も読み返したくなる絵本です。
★★★★★
こういう絵本が、
人気があって、
賞なんかも取っちゃって、
子どもの本としての確固たる評価がえられると言うのが、
スウェーデンだよなぁ。
最近では、日本でもこういう感じの絵本見かけるけど、
なんか、違うんだよなぁ。
何が違うんだろう。
僕が思うには、
作者の、
作品への向い方、だろうか。
どうしても、商業的な意図が見え隠れてしまい、
そういうのが鼻につくんだけど、
彼にはそれがない。
いや、
それを感じられない。
それは、僕にはとても魅力的に映る。
物語は、
前回トトで手にした賞金で、
ジャクソン夫人の家の壁紙を張り替えてあげる、
というだけの話。
作者は、
アバウトな部分はとても、アバウトで、
こだわる部分には、
妙にリアルで細かい。
それがうまく読み手の触手をくすぐる。
このトーンが一致できれば、
きっと、この絵本を、
何度も読み返したくなってしまうでしょう。
2人の不思議な日常。
★★★★★
元船乗りのセーラーと犬のペッカ。ふたりの、何だか不思議で、でもかわいくて、楽しい日常が描かれた本です。
セーラーの、適当で気ままでおおらかな感じが、いい大人なのに、とてもすてき!
スウェーデンの国民性なんでしょうかね?
イラスト(コラージュ)も何だか不思議で、独特です。舞台となる北欧の写真もたくさん載っていて、大人が見ても、十分楽しめる内容です。
シリーズとして何冊か出てますが、この4冊目は、優れた子どもの本に贈られるエルサ・ベスコフ賞とヘッファクルンペン賞を受賞しているそうですよ。