あの快作『リンゴォ・キッドの休日』の二村永爾が帰ってきた。
病院から消えた死体を追う内、遭遇するもうひとつの死体、銃、そして女。
二村刑事シリーズ、待望の第二作。
今回も軽快な会話と、巧妙な比喩は健在でした。
それに加えて、その後の作品を匂わせるような言葉も。
「スズキっていうのが怪しいな、シトロゥエンに乗っているんだろう」私はでたらめを言った。
「そこまでは分かりません」
『スズキさんの休息と遍歴 またはかくも誇らかなるドーシーボーの紀行』
スズキさんが愛息と共にシトロゥエンに乗って繰り広げる、
現代のドン・キホーテ物語。
「家へ帰るよ。眠るんだ」
「こんな時間からか」
「見てくれよりずっと年をとってるんだ。眠くてしかたない。
眠って、ライオンの夢を見るよ」
『ライオンを夢見る』 平成十六年刊
ヘミングウェイ伝説を追った、魅惑の紀行文集。
短編『コンクリート謝肉祭』収録。
こんな風に、ほんの少しだけ想像を膨らませてくれるのが、
氏の魅力の一端でもあるわけです。
見かけられましたら、是非ご一読を。