マンドラゴラ
★★☆☆☆
Robert van Gulikの『The Emperor's Pearl』(1963年)の翻訳。
原題と訳題が異なるが、これは皇帝から盗まれた真珠と、林にあらわれる女性の幽霊のいずれもが主要なモチーフとなっているためか。
ディー判事シリーズの未訳長篇としては、本書が最後だったらしい。それが納得できるいまいちっぷりだった。事件そのものは趣向が凝らしてあって面白いのだが、真相が明らかになっていく過程、真相そのものにまったく魅力を感じない。正直、失敗作だと思う。
古い中国の話を西洋人が書いたという雰囲気は良く出ているのだが。
次巻からは既訳分の改訳に入っていくらしい。