CWAゴールド・ダガー賞受賞!スコットランドを駆け巡るリーバス警部
★★★☆☆
英国におけるミステリーの頂点、「CWA(英国推理作家協会)賞」の’97年度ゴールド・ダガー賞(最優秀長編賞)受賞作で、<リーバス警部>シリーズの第8作である。
’98年、「このミステリーがすごい!」海外編第6位にランクインしている。
北海油田の労働者が墜落死を遂げ、リーバスが捜査に乗り出すのも束の間、1960年代にスコットランドを震撼させた絞殺魔“バイブル・ジョン”が復活したとしか思えない同様の手口の連続事件が30数年を経て発生。当時事件は迷宮入りとなっていた。リーバスは地を這うような捜査を始める・・・。
一方、かつてリーバスが逮捕に関わった服役囚が冤罪を訴え獄中で自殺し、内部調査が行なわれる。一度にいくつもの事件が同時多発的に起こる、いわゆるモジュラー型とでも言うべき展開で、リーバスはひたすら忙殺される。
しかし、そのひとつひとつの課題との関わり方を通して、主人公リーバスの一匹狼的な個性と孤独な姿が浮き彫りにされてゆく。
本書の何よりの読みどころは、’80年代以降ミステリーにおける重要なファクターとなったサイコ・スリラーを、新たな視点から料理しなおしているところであろう。
本書は、現代英国風ハードボイルド警察小説に新機軸のサイコ・サスペンスを加味した秀作である。