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青春の証明 (角川文庫)

価格: ¥660
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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一点の謎解きはおもしろい ★★★☆☆
面白かったけど、正直、やっぱスタイルが古いかな。
戦後のにおいのある頃の話からだから、その意味でもちろん古いんだけど、そう言う意味ではない。
なと言うかな、謎解きが、登場人物の「偶然」の関係が、余りにもでき過ぎ君で。。。
それはないでしょ、という感じ。
主要な登場人物が、結局娘の結婚相手の父であったりと、いくら何でも世界が狭過ぎ。
これが偶然で、というのはまさに小説でしょ。
ただ、一点。話の発端となる部分の謎解きだけが最後まで残され、その結末が相当意外なこと。
この点は推理もへったくれもなく、何ともある種人間味があって面白かったな。
なんだかせつない ★★★★★
登場人物がたくさん出てきて最後にはきっとそれぞれが関わっていくのだなとは思っていたけれど、あれ、この人は誰の妻だったっけ、息子だったっけ? 登山好きはどっちだったっけ、じゃあ戦争に行ったのは? とか何となく似たような名前の人物が並んでいて読みながら前のページを探し歩かなければならないことが何度かあった。しかし主人公笹岡の最期はあまりにもせつなく、それでいて生涯をかけて償おうとする「卑怯者」という汚名を体を張って証明した。青春とは、その一瞬、一瞬を一生懸命に生きること、私はそう思うが、時には、それが他人を傷つけてしまうこともあるし、自分が痛い目にあうこともある。そんな人々の人間ドラマを著者は鋭い観察力で見事に書き上げていると思う。
「青春」の様々な形 ★★★★☆
犯人探しをメインとする推理小説においては犯人の心理を詳しく描くことが難しいという難点があります。犯罪を犯すような状況に陥った人には語るに値するドラマがあるはずなのに、それを十分に描けないのはもったいないことです。開き直って犯人が初めから明かされている小説というのもありますが、今作で森村誠一はそれとは異なるかなり思い切った策に出ています。登場人物のほぼ全員にそれぞれのドラマを与えているのです。それぞれの人物のドラマが微妙に絡まり合っているので、犯人以外の人のドラマも単に真犯人を隠すための目くらましという意味だけでなく、本作に文学的な味わいを与えるのに貢献しています。

『人間の証明』『野性の証明』と本作からなる証明三部作の中ではもっともエンタテイメント性が薄く、その結果唯一映画化されていませんが(映画化は不可能でしょう)、厚い作品であることもあって読了時の充実感では決して負けていません。“青春”という言葉の森村誠一独特の解釈も魅力的です。