本当に黄金の時代が来るのかどうか自分の目で確かめてください
★★★★★
著者は現在の世界中の貧困問題を取り上げ、無能で腐敗している政治の責任が重いと断言しています。
また人の精神を4つに分類し説明がなされています。
それは、
富裕層
武人
知識人
労働者
というものです。
人が根本的に持っている精神というのは、どれかにあてはまり、なかなか変わらないものであると説明しています。
この分類を基盤にして、社会の循環の法則を説明していますが、インフレとマネーサプライに関しても言及し、30年ごとのピークにも触れています。
特に今のアメリカは富裕層の時代であり、貧富の差が恐ろしく拡大しています。
税率の面でも富裕層には低税率を採用し、中間層やそれ以下の層には重い税金を課しています。
そういった様々な問題点を本書では定義し、具体的な方策を提唱しています。
特に記憶に残ったことは、貿易に関する関税をかけて、自由貿易の不均等を是正するのではなく、相手国とのデュアル通貨(ひとつの通貨で違った価格を貿易の際にのみ利用する)により、例えば中国のような特殊な自国通貨の防衛を行っているところとフェアに貿易ができるようになり、貿易赤字も縮小するだろうというものでした。
2007 年5月1日が初版のこの本は原油や住宅のバブルに関しても、その危険性を唱えていました。またブッシュ政権の終わりの時でしたが、彼の提言している内容を現在のオバマ大統領がどこまで答えることができるのか、それもこれからの課題ではないかと思います。
なかなか話の内容に信憑性のあるものが多く、興味のある方にはお勧めです。
過去・現状分析に基づく、ダイジェスト未来論
★★★★☆
遅ればせながら、読んだ。
トフラー「富の未来」ほど、ボリュームと緻密さはないけれど、
ここに書いてることはだいたいこんなふうになるんだろうなあ、と思える
過去・現状分析に基づく、ダイジェスト未来論。
社会循環の法則は、古くからある四元素の思想ルーツを汲む。
【4つの分類例】
サーカーの時代分類 - 労働者/武人/知識人/富裕者
カースト - スードラ/クシャトリア/ブラフミン/ヴァイシャ
四元素 - 火/風/水/土
トランプ - クラブ/スペード/ハート/ダイヤ
ユング心理学 - 直感、精神/思考、知性/感情情感/感覚、物質
タロット - 棒/剣/聖杯/貨幣
世界の潮流を簡潔に知れる良書
★★★★★
ローマ帝国以降の西欧・イスラム社会の変遷、強欲な民主主義に病む米国の変遷と現状等がコンパクトに纏められており、特にそれらの知識を持ち合わせていない人にとっては、世界の潮流を簡潔に知ることができる良書だと思います。
〜抜粋〜
1)格差社会
米国では貧困以下の人口は3900万人で、年々100万単位が増加
世界では貧困以下の人口が30億人、さらに極貧が10億人
米国の貧困の4原因は、石油の高騰、低い最低労働賃金、逆進課税の税制、グローバリゼーション
※それら全てが政治の腐敗とリンクしている
2)石油と住宅のバブル
2001年1月株価下落以降の、FF(フィデラルファンド)金利引き下げに伴い、行き場を失った強欲なマネーが住宅や石油に向かってバブルとなった。
石油は供給量不足ではなく、法規制されてない店頭市場(OTC=オーバーザカウンター)で暗躍するヘッジファンド、ゴールドマンサックス、モルガンスタンレー等の強欲な先物取引により価格が高騰している。
3)イスラム社会
今のイスラムの構図は知識人(宗教家)と富裕者の勢力争いであり、富裕者を敵とみなすシーア派(フセインの反対派)を支援する米国は、自らが富裕者(金が全ての民主主義)であることからそのスキームでイラクを統治するには無理がある。
その他、米国、世界を改善する為の提案や、歴史が循環するという独自の理論等も展開されており、短時間に世界の潮流を知ることができお奨めです。
忘れないでいよう、歴史は繰り返される
★★★☆☆
今という視点だけでは見えてこない「社会が循環する
大きな流れ」を本書は紹介してくれます。世界の経済が
フラット化するということが認識されるようになって
きましたが、それぞれの地域には宗教、文化、政治システム
が異なるためにそう簡単に物事が進まないことも歴史を
交えながら紹介してくれています。
なぜ、現在の資本主義が壁にぶち当たろうとしているのか?
現状認識と過去の歴史を研究することで見えてくるのが
著者がこれまでの書籍を通じて紹介している経済民主主義です。
この経済民主主義を頭の中で整理するのに本書が役立つ
ように思います。
国家の輪廻は「プラウト」で終息するのか?
★★★★☆
私の理解している限りでは、ラビ・バトラ氏がこれまでの著作で述べてきたことが、本書では“簡にして要を得る”形でまとめられている。
“労働者の時代→武人の時代→知識人の時代→富裕者の時代→労働者の時代(社会革命)→武人の時代→・・・”、という著者の恩師であるP.R.サーカー氏が見出した『社会循環の法則』によれば、2010年頃に「アメリカ革命」が起こることは必然と説く。
2006年での各国の状況を『社会循環の法則』に当てはめた紹介がある。中国は「武人の時代」のピークにいる。欧米・印度・中南米は「富裕者の時代」の末期にあって「社会革命」を迎えようとしており、その後は「武人の時代」に突入する。ロシアとイスラムは「知識人の時代」の初期にあるため、「武人の時代」にある国と連携する可能性がある。日本だけが「富裕者の時代」のピークにあって、「武人の時代」にある国々から排斥される。これを読む限り、日本が一番深刻な状況に置かれるようだ。
これまでの著作では、共産主義と資本主義の崩壊後には新しい経済システム「プラウト」が生まれると述べていた。その「プラウト」が日本で一番最初に実現すると述べてきたのは、日本が最悪の状況に直面するからなのだろうか?