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マーチ家の父 もうひとつの若草物語

価格: ¥2,310
カテゴリ: ハードカバー
ブランド: 武田ランダムハウスジャパン
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良いです。 ★★★★★
 『若草物語』において異様なのは、徹底した父の不在です。
 オルコットにとって父である、超絶主義者であり理想だけに生きた著名な教育者の父ブロンソンは、その理想を貫徹するために家族を捨てようとした存在です。オルコットが作家として金を稼ぎ家族を養おうと子どもの時に決意した動機の1つはそこにあります。
 だからといって父親を憎んでいたわけではなく、父の面倒を見続けます。その愛情は、かろうじて残されている日記の一部からも伺われます。
 二人は共に危篤となり、父の死後二日目にオルコットも亡くなりました。
 このフィクションは、『若草』における不在の父の側を描いています。そのための資料やインスピレーションに使われたのは、ブロンソンの著作や、言及された書物。
 見事なフィクション、そしてメタ・フィクションなのですが、『若草』の舞台を借りてブロンソンを描いたと考えるなら、優れた歴史・伝記小説ともいえるでしょう。
 これを機会に『若草物語』の背景(深いです)に興味を持ってくだされば幸いです。
 絶品。(ひこ・田中)
こ、これは別物語では‥ ★★★☆☆
タイトルだけ見て、あの「若草物語」のスピンオフか!と思って読むと、乙女な気持ちを粉みじんに打ち砕かれます。それほどにリアルでところどころ残酷で赤裸々な物語。「若草物語」の背景にある当時のアメリカ社会と奴隷制度、そして南北戦争についてが、マーチ姉妹の『お父さま』の視点で描かれていますが、あくまでも大人の目線で見たもの感じたことなので、本来の「若草物語」の読者層には向かないでしょうね。 自分の両親もそれぞれがそれぞれの人生を歩んできた一人の人間であり、男女なのだ‥ということが理解できる年頃になった「若草物語」の読者向き。