黒猫のサンゴロウ。彼が活躍するこのシリーズは、全体に切なさと孤独とが漂っている。それは、ふとした瞬間に彼が見せるものであったり、海の表情であったりと様々だ。そんな中、決して変わらぬもの――テーマを挙げるとすれば、それはサンゴロウ自身が無くした記憶を求める、自分探しの旅であると思う。自分の存在意義、自分はなぜここにいるのか・・・シリーズを読み進めて行くうちに、読者である私達も自問自答をしているのではないだろうか? 児童書を侮るなかれ。きっと、はっとさせられるだろう。