示唆無きレポート集に大いに失望
★☆☆☆☆
WEB上にいくらでも転がってる有名事例をかき集めただけのレポート集にがっかりです。
たとえ事例が有名だろうと20年も前のものであろうと、示唆に富んでさえいればそれは十分に「生きた」事例だと思います。
ただしそれが「生きた」ものか「死んだ」ものかの判別は、その内容が、対象に対して細部に至るまで徹底して調査・分析され尽くし、その事例への洞察から、今起こっている課題に対する解決へのヒントが見えるかどうかが判断の分かれ目になると思います。
これでは学生に書かせたレポートと大差なし。5つ星をつける方がいるのが不思議でなりません。期待を持って読んだだけに、個人的には大いに失望しました。
期待値未満。30点。
★☆☆☆☆
決して駄本ではなく世の潮流をざっくり掴むにはよいと思いますが、期待値にはだいぶ届きませんでしたね。
その理由として、不満点はたくさんあるのですが大きく2点。
1.書籍になってくる時点でリードタイムが発生してしまうのは当然ですから、ある程度はしょうがないと思うのですが、あまりに「いまさら感」が強い、と言わざるを得ません。(私が本書に目を通すのが出版より半年遅れてしまったせいもあるとは思うのですが)、仮に半年前であっても世界の潮流は完全に新興国のローエンドに向き終わった後であったように思います。他の方が指摘してらっしゃる通り、何年も先行している企業は山ほどありますし、世界中のあらゆる企業がそこに駆けつけて大激戦が繰り広げられている昨今、本書にある「猶予は3年」という言葉には若干呆れてしまうものがあります。
2.ただの事例本になってしまっており、さらに言うと有名事例のオンパレード。コンサル会社が手の内を全て見せてしまっては売り物がなくなってしまうため、止むを得ず当たり障りのない本に仕上がってしまっている可能性もあるとは思いますが、当世、学生にレポートを書かせてもこのくらいのものは仕上がってくるように思います。やはり、より整理されたインサイトとフォーサイトに富んだものが欲しかったように思います。
次は新興国だ!富裕層じゃなくてローエンドだ!こんな成功事例がある!こんな事例もあるぞ!鍵はM&Aだ!----では、期待値にはほど遠かったように思います。
日経新聞で充分
★☆☆☆☆
タイトルにも記しましたが、日経新聞を毎日読んでいればそれだけで充分です。内容的には新聞や雑誌のコラムのレベル。書籍としての付加価値は低い。
経済学を専攻しているため(現時点で某国立大の3年次在籍)、多少(ほんとに多少だと思う)世界経済の動向に意識を払っているアドバンテージを差し引いたとしても、それほど得るものはなかった。日経新聞を毎日購読していて、気になる記事があればさっとWEBでリサーチする、そんな程度でこの書籍よりもよほど深い洞察が得られるだろうと感じた。
就職活動中ということもあり(もう終わりましたが)、いわゆる「戦略本」の類をまとめ読みしている最中なのだが、これはけっこう示唆の少ない書籍の部類に入るように思う。コンサルティングファームも「ピンキリ」だということがよくわかった。(さらにいうと、初期のレビューに5つ星が多すぎるのが、どう見ても組織票っぽくていやらしく感じた。そういう反感も込めて星1つ減らしちゃいました。)
一方、来年就職活動を始める後輩には、世界経済の流れを知るための入門書として勧めてもいいかもしれないと思った。
「残念な」書籍
★★☆☆☆
よくまとまっていて、読み易い。社会人2、3年目の方や、海外企業の動向などに全く無縁の方でしたら、電車通勤の合間にサクっと読めて視野の広がる書籍だと思います。
ただし、不満な点はかなりあります。
ただの事例本に終始しており、ある程度の経営リテラシーを持った人間から見ると新しい知見はありません。コンサル会社の幹部クラスの方が書いた書籍としては、中身が薄い期待外れな出来となってしまっている。
また、ここに書かれている事例は非常に有名なものばかりで、ネットでみればもっと詳しいものが山ほど落ちています。つまりはただ単にそれらをまとめただけになってしまっている。
さらに、他の方のレビューにあるように、消費市場としての新興国の存在など、皆とっくの昔から認識しています。ただ、米国・欧州を重視せざるを得ない経済状況下にあった。それ故、打ち手の優先順位が下がってしまった。経営の舵取りの転換を訴えるならば、経済のパラダイムシフトが起きる前に、その予兆を声高に訴えて欲しかった。
ということで、個人的にはいまさら感の強い、非常に「残念な」書籍だと言わざるを得ません。
何故今頃になってグローバルを問うのか?
★☆☆☆☆
中国やインド等BRICsへの進出など、その定義をゴールドマンサックスが言い出した頃から10年近く(中国に至っては1980年代から)、ずっと叫ばれ続けているにも関わらず、「何故今頃になってグローバルを問うのか?」、これがこの本に対する率直な疑問です。
1.昔は「消費の場」ではなく、安い労働力や豊富な資源に裏付けられた「生産の場」としての価値しか新興国にはなかったから?
2.昔から新興国にも「消費の場」としての価値はあったが、それは「一部の富裕層向けの消費市場」であり、「Base of Pillamid」には消費市場としての価値がないと考えられていたから?
いずれも答えはNoです。
新興国の中間所得層や低所得層の消費能力を引き上げ、そこに新たな市場を創出しようとする試みはずっと以前から存在しました。
2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏がマイクロファイナンスという仕組みによって、アジアの最貧民国であるバングラディシュにグラミン銀行を創設したのは30年も前の話ですし、ノキアが新興国向けの廉価端末を用いて携帯電話市場において巨大なシェアを獲得したのも、それに向けて動き出したのは2000年代の前半のはずです。日本で言えばユニチャームやヤクルト本社が新興国を消費市場として捉えて開拓し始めたのもかなり前からのことです。
この本は、ビジネスの先端にいる人間ならば誰もが知っている、ごくごく当たり前の事例をさも偉そうに語っているが、陳腐化した事例を紹介しているただの事例本にすぎないように思います。「アクセンチュア流グローバル戦略」などと銘打っているが、どの部分に新しい付加価値があり、どの部分が「アクセンチュア流」なのでしょうか?私にはネット上のそこら中に落ちているレポート集にしか見えませんでした。
それを、米国偏重の世界経済が崩壊する前に出版していたならばともかく、今頃になって何を言っているのでしょうか。
他のレビュワーの方が何故そんな高評価をつけているのか理解に苦しみます。他の方の評価があまりに高かったのでけっこう期待して読んだのですが、見事に裏切られました(5ツ星はきっとアクセンチュア内部の方によるものなんでしょう)。