日本の国境の姿が見えてくる
★★★★★
日本の国境地方(島嶼)で起こっている様々な事象を、
東京(中央)の視点、机上の議論ではなく、現場の声を
反映した綿密なフィールドワークを縦糸、問題解決の
ための理論研究を横糸として構成した本だ。
多くの日本住民、特に陸地の住民がいまだ知らない
島嶼国家としての日本の姿を描き、そこに住む人々の
現状と変革への動き、中央政府の政策の変化、諸外国
での同様の問題の解決事例がパッケージになっている。
日本の国境問題を知るためには必読の文献と言えるが、
その内容が多彩なため、深く掘り下げたい人には若干
不満が残るかも知れない。が、著者たちの現場に根ざ
した議論は単なる学術研究を超えた深みがあり、おも
しろい。