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ある首斬り役人の日記 (白水Uブックス)

価格: ¥998
カテゴリ: 新書
ブランド: 白水社
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まさに日記 ★★★★☆
処刑内容をたんたんと記してあり、まさに日記。盗みと嬰児殺しが多いのにはびっくり。その時代に生きていたら、盗みに入られて…と考えると怖くなります。近親相姦や男色もあったんですね。これを読む前に「死刑執行人サンソン 国王ルイ十六世の首を刎ねた男」を読みましたが、私としては歴史背景も書いてあるサンソンのほうが読みやすく、面白かったかな。こういうことして、こんな処刑をされたんだぁ〜ってたくさん知りたい人は日記も面白いと思います。ほんと、簡単に処刑されていたんですね。
貴重な資料である ★★★★★
ドイツには刑場の遺跡が多く残っていて、この本はニュルンベルクの博物館で販売されていた。訳者の藤代先生は炯眼にもこれを買われ、それで素晴らしい邦語訳本が日の目を見ることになった。ハイデルベルク大学には学生の牢獄があって、これも名所となっている。首斬り役人は、藤代先生が言われるように、「名誉なき者」であった。これは社会身分制度上、世界各国で共通している。このことは、死や死体に直接関わる仕事をする者の定めなのだが、敢えてタブーを超えて史実として、後世に残したフランツ親方は慧眼に値する人物である。記録の好きなドイツ人ならではの本と言える。内容的には、既に詳細な記述がなされているので、蛇足ながら駄文を些か述べさせていただいた。
グリム兄弟が読んだ本 ★★★★☆
ドイツ、ニュルンベルクの死刑執行人、フランツ親方の日記です。
死刑を第一部、体罰を第二部として編纂してあります。それぞれ、有識者の解説が付記されています。西洋の歴史の一部を読み解く本として、読んで損は無いと思います。

人間的な感情を極力廃し、冷徹に刑場に引き出された人物の罪状と、下された刑の内容を記した覚書です。フランツ親方の心情が吐露される部分は稀で、そのため処刑人自身や罪人と称された人々の人生に対する読み手の想像力はかきたてられます。グリム兄弟やアルニム、詩人ブレンターノが耽読したという話にもうなずけます。ただ、本当に淡々としているので、何もかも説明してもらうことに慣れた方ですと、処刑の覚書の一つ一つが代わり映えのしないものと写り、退屈に感じるかもしれません。

殺人、強盗、暴行、詐欺、そして姦通や男色など罪の内容は様々ですが、個人的には嬰児殺しが多い点に驚きました。フランツ親方が生きた時代には有効な避妊法が無く、あったとしても宗教上の理由から使用を許されなかったことでしょう。当時と現代の嬰児殺しでは動機という点で大きな相違があるかもしれませんが、古くからある深刻な犯罪ついて改めて考える機会になりました。