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死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 集英社
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死刑判決と死刑執行人について初めて考えた ★★★★★
皆さんのようには書けませんが…。 著者の別の本「物語フランス革命」を読み、そこに登場した、処刑人をしているサンソン一族を知りました。 革命時のフランス、死刑執行を執り行う人たちの中に、4代目サンソンはいて、フランス革命→王政廃止→国王死刑→その処刑執行人…となってしまうのですね。 この本は、この4代目サンソンを含めた、サンソン一族がどんな経緯で、死刑執行を世襲してきたか、その暮らしぶりや仕事ぶり(副業で医者をしていたというからびっくりだ)などから話が進んでゆく。 裁判所から死刑執行のお達しが来て、執行を行うという仕事だとはいえ、周囲からは忌み嫌われていたという。 死刑執行にまつわる話や、眉をひそめたくなるような刑もあるけれど、だんだん、苦しめるだけの拷問などが無くなってゆく。 死刑のあり方が論じられ、ついには、楽に?早く?死刑執行ができる機械として、ギロチンが制作されたのも、この4代目サンソンの頃だった。 ギロチンの刃が斜めなのは、そういう方面に長けていた、ルイ16世の提案だったのだそう(後にルイはこのギロチンで刑を執行される)。 フランスでは、広場などで公開処刑をしていたから、それにまつわる話も多く書かれていて、こわさ半分、興味半分で読み進めた。 結局は、ルイ16世は、死刑を宣告された。 4代目サンソンは、信仰厚く、国王にも敬意と愛着を持っていたから、逃げてしまおうかとも考えたほど、取り乱したようだ。 最後の最後まで、誰かが国王を救出してくれることを祈っていたサンソンだった。 本の最後の方には、サンソンから、世襲で跡を継いだ子や孫も「死刑制度の反対」を訴えている。 7代目サンソンは、これまでの先祖たちの日誌なども「回想録」にまとめて世に出した。 偶然、日本のニュースで、刑場の写真が公開されたが、この死刑という問題について深く重く考えさせられた。
題名が怖くて… ★★★★★
題名が怖くて手にとれませんでしたが、マリー・アントワネットをちょうど読んでいて「サンソン」の名が出てきたので思い切って購入。サンソン関連も良かったですが、フランス革命をまた違った角度から読むことができて、購入して良かったと思いました。ギロチンになる前の死刑ってすごく怖いですね。見せ物になっていたようですが、私がその時代にいたら見ることができたのでしょうか…。残酷すぎて信じられません。怖い描写もありますが、読んで正解でした。
人間喜劇 ★★★☆☆
物語として面白く、読みやすかったけれど、最終章で少し興ざめ。
死刑廃止論の是非や好悪は別にして、
著者がサンソンの口を借りて持論を述べているように感じられ後味が悪かった。

巻末の注釈によると、主な参考文献は
この本の主人公、シャルル-アンリの孫が編纂した、「サンソン家 回想録」
バルザックが、シャルル-アンリの息子に取材して執筆した「サンソン家 回想録」。
そして、アレクサンドル・デュマが書いた「九十三年のドラマ」という3冊の本だそうだ。
さらに注釈をよく読むと、

  ギロチン開発にルイ16世が深く関わっていたという話を書いたのは、デュマが最初。
  その場にいたとされるギヨタン、侍医のルイ博士、シャルル-アンリの三人は
  そのことについて証言を残していない。(2章-9,10)

  国王を手にかけたことによって、苦悩を感じていたことを
  シャルル-アンリ本人は公の場で表明していない。
  でも、町の噂としてはひろく知られていた。(4章-9)。

といったことが書いてある。

この作品中に出てくるシャルル-アンリの言葉は、本人が書き残したものなのか、
孫や伝記作家が残した「回想録」等を元に、著者が創作したものなのか
果たしてどちらなのだろう?
息をのむ、迫真の筆致 ★★★★★
宮崎哲弥氏が『新書365冊』で「傑作」と評していたのにひかれ、購入した。たしかに、ものすごく面白い歴史読物であると同時に、死刑制度について問う現代的なメッセージも含まれている。

主人公のシャルル=アンリ・サンソンは、ムッシュー・ド・パリ(パリの筆頭死刑執行人の称号)を世襲するのサンソン家に四代目として生まれ、ルイ16世とその妃マリー・アントワネットの処刑(1793年)を行った伝説的な人物。著者の安達正勝氏は、フランス文学、とりわけバルザックの専門家であり、シャルル=アンリが残した日誌、その孫のアンリ=クレマンがまとめた『サンソン家回想録、七世代の死刑執行人』、バルザックがアンリ=クレマンに丁寧な取材をして書いた『フランス革命史に貢献するための回想録』などを、本書の基礎資料としている。

死刑執行人の伝記であるから、当時の公開処刑の生々しい描写ももちろん含まれるが、主題はそれを生業としたシャルル=アンリの人生と心の葛藤である。高給取りの役人とはいえ、死刑執行人は一般市民はもとより、上から処刑を命じる役人たちからも汚物のように嫌われた。子孫はその差別ゆえに他の職業に就くことも許されず、結婚相手はもっぱら同業者の娘となる。シャルル=アンリは貴族に劣らない教養と社交性を備え、敬虔なカトリック信者でありながら、職業として人を殺めなければならない葛藤に絶えず悩まされていた。代々伝わる専門家としての訓練と、国王に仕える家系への誇りが支えであった。

しかし、皮肉なことに、革命によってその国王に手を下さなければならない事態におよび、シャルル=アンリの葛藤は頂点に達したという。彼は、ルイ16世に二度謁見したことがあり、敬愛していたのだ。そのために、ひそかに王党派による処刑の阻止を期待するが、革命の圧倒的の熱のなかではそれもかなわぬ夢であった。何万という群衆と騎兵がギロチンを据えた処刑台を取り囲むなか、やがて国王を載せた馬車が近づいて来る・・・そのくだりの描写には、思わず息をのむ。歴史書と歴史物語は別物とは知りながら、その筆の迫力ゆえに、どうしても自分がシャルル=アンリの立場にいたら、あるいは群衆の一人だったら、と考えずにはいられない。

現代でも、機械を用いてとはいえ、囚人の命をうばう役をになう刑務官は、かなりの確率で死刑廃止論者になるという。それは経験したものにしか分からない心境だろう。シャルル=アンリは死刑廃止を願い、孫のアンリ=クレマンは実際にそれを世に訴えた。本人とその子孫による回想を元にした伝記である以上、史実描写という点ではある程度距離をおいてみる必要があるが、少なくとも著者がつづったシャルル=アンリの心の叫びは、真実であると感じる。あとがきによれば、かつては上記のアンリ=クレマンの『回想録』は、「しょせん死刑執行人が書いたもの」として二級の扱いを受けていたが、革命200周年を記念して1988年に出版された『死刑執行人シャルル=クレマン・サンソンが見たフランス革命』により、その歴史的価値が認められたということである。
我々も決して無関係ではないのかもしれない・・・ ★★★★★
題名、特に副題に興味を引かれてこの本を購入しました。
とにかく、あっという間に読んでしまいました。買ったときの帯に、小説を超えた驚きの連続、とありましたが、確かに下手な小説などよりも、驚嘆の連続でしたし迫真の面白さがありましたね。
死刑執行人という職業の人たちが特にフランス革命前後の激動の時代の中でどんな思いを抱いていたかを知ると、愕然たる思いがします。また、彼らの視点から描くことにより、革命の物凄いエネルギーと一方では凄まじいほど多くの犠牲者を出したその異常さが、改めて炙り出されたと思います。その他、ギロチンに関わる皮肉な運命の物語などにも、とにかく圧倒されました。もちろんそれはこの著者に負うところが大きいと思います。
彼らの苦悩から始まり人を裁き刑を課すことが簡単ではないこと、殺人という一点からみた時しばしば見られる人間の異様さ不可解さを示しているなど、とにかく読ませるものが凄くあると思います。
そしてこの本は、歴史上あまり知られることが無いが別の意味での重要人物にも光を照てている好見本であり、歴史を別の側面から見ることの重要性を再認識させられます。また我々は一般的に言って、ルイ十六世をずいぶんと誤解していたと思い、歴史を読み解くことの難しさにも思い至りましたね。

最後のほうの、死刑制度は間違っている・・・に始まる件はとても重いです。普遍性のあるものもあります。そして、奇しくも裁判員制度が始まり、我々自身が死刑の判決に関与する可能性も出て来ることを思うと、簡単に答えの出ることではありませんが、サンソン一族の心の底からの叫びは、今我々に決して眼を背けたり回避したりできない重い課題を改めてつきつけている気がします。全てが当てはまることではないものの、死刑について改めて考えてみる一つのきっかけになったのかなと思いました。