良好な印刷の肖像画の数々と平易な解説で振り返るフランス革命
★★★★☆
ルソー、ルイ16世イ、マリーアントワネット、ミラボー、タレイラン、ロラン夫人、ロベスピエール、ナポレオン、他。激動のフランス革命の時代を、残された数多くの肖像画にとともに振り返る。
絵はカラーで、印刷は良好。当時の資料はたくさん残っているので、よりサイズが大きくて高価な本では多くの写真を載せたものもある。しかし、この本は肖像画だけに的を絞っているのが成功の要因だろう。新書なので紙面のサイズも限られるし、何よりそれによって人物に焦点を当てるという狙いがはっきりした作りになっている。
著者は西洋史を得意とする直木賞作家。解説はそれほど詳しいわけではないし、新書であることを割り引いて考えても人物史としては分量的に少し物足りない気もする。しかし、絵から読みとれる外見の特徴に関する考察を交えながら、学者の文体とは明らかに異なる多少独断の混じったコメントで楽しませてくれる。若き日のナポレオンが、イタリアのサッカー選手のトッティに似ているというのはちょっと笑った。尚、付録に人物関係図や年表、人物名の一覧が載っている。
肖像をみることによって立体的に
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フランス革命ってわかりにくいですよね。名前もカタカナだし…、大勢の人が出てきて。帯にもありましたが、肖像を見ながらだと歴史が立体的に見えてきます。これまでフランス革命に関する本をいくつか読み、いろんな角度からみてきましたが、やはり絵があると違いますね。歴史が動き出してきます。これからフランス革命の本を読もうとしている人がいたらおすすめです。絵があるとないとでは本当に違いますから。顔の印象についてもコメントがあり、面白かったです。え〜、こういう人をかっこいいって言うの〜って思うこともありましたが、ま〜いいでしょう。好みですから。
肖像画はカラーがいいと再認識! 各々が口ほどに物を言いっています!
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とても綺麗な色刷りの肖像画が気に入って、ちょうど同著者の「小説フランス革命」を読もうとしていた矢先だったのでさっそく購入しました。
まずは、フランス革命に関連した主要人物たちのカラー肖像画がとても綺麗なことに驚き感動しました。一般的な歴史書(教科書も含め)ではマリー・アントワネットやロベスピエールの肖像くらいは載せていますが、ほとんどの場合、白黒のものしか見たことがありませんでした。しかし、カラーとは比べものになりませんね。白黒では伝わってこなかった、その人物たちの息吹や人と成りが伝わってきます(日本史でも、源頼朝や、豊臣秀吉の肖像画がすぐ頭に浮かびますが、カラーの絵画だからこそそうなのであって、白黒しか見ていなかったらそうではないのかななどと思いました)。
それくらい、カラーの肖像画は説得性があります。
この本では著者が各々の肖像画に合わせて、人物の印象や特徴についてコメントしているという形式です。たしか、以前に塩野七海さんが、歴史上の英雄について論じたエッセイで、カラーの肖像画を載せていたものがあったかと思いますが、あちらは文章が中心で、この本は画像が中心です。その分、文章は少ないので、この本を読んだだけではフランス革命の概要はつかむことは難しいでしょう。
個人的に気に入った肖像は、タリアン夫人です。なにやら胸の大きくはだけた服を着ていて、左胸が全てあらわになっている姿にも驚かされましたが、さらに驚かされたはその妖しげなふたつの瞳です。この出立ちにこの目を見れば、なるほどこういう人なら、あのくらいのことは平気でやらかすだろうな、という説得力がありました。この他に、猪八戒のような風貌のダントンやサンジュストのイケメンなど見所が多い本です。フランス革命期の人物に興味がある人にとっては買っても損は無いと思います。
「小説 フランス革命」の副読本にピッタリ
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大作「小説フランス革命」シリーズを執筆中の佐藤賢一氏がフランス革命に関わる人たちの肖像画を集め、それぞれの人となりを解説した面白い本。
カラーをふんだんに使用し、非常に美しい仕上がりであるとともに、革命前後の主だった人々をほとんど集めたとっても面白い本だ。
もちろん、この本単独でも十分に楽しめるけど、「小説フランス革命」と合わせて読むとなおいっそう楽しめる。
佐藤氏が小説の中で描く登場人物たちが、いきいきと自分の頭の中で動きだしてくる。副読本として、これからも「小説フランス革命」の続巻を読む際には、手元に置いておきたい本だ。