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経済原論 (岩波全書)

価格: ¥2,205
カテゴリ: 単行本
ブランド: 岩波書店
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経済学の一つとして ★★★★★
イギリスの古典的経済学の流れを組む学問体系。
ケインズらの近代経済学と対比して、原理に強いが、
現状分析に偏りがあるのが難点であると考えている。

本書は原理の部分なので、本書を読んだだけでは、
現状分析にどのように有効かは分からないかもしれない。

自分の経験をうまく表現できるようであれば、有用な道具となるだろう。

近代経済学が現状の説明に偏りすぎて、
現状を肯定的に描写するのに力を入れているのは、
古典経済学の反動なのかもしれない。

いずれにしても、原理から現状分析まで幅広い、新しい経済学を構築したいのなら、その一石がここにあるかもしれない。
マルクス主義を根本から破壊する宇野弘蔵 ★☆☆☆☆
宇野弘蔵は、マルクスからその革命的な核心を抜き去り、ブルジョアジーにとって無害な「マルクス経済学」を構築することに一生を費やした人物である。当然、この本の内容も、マルクスの『資本論』とは似ても似つかぬものとなっており、マルクスが解明した資本主義の終焉という革命的な主題が抜き去られている。この本からマルクスを学ぶことはできない。
日本の企業経営者は詐欺師の集まりか? ★★★★★
「外務省のラスプーチン」こと佐藤優が絶賛してたので読んでみました。

資本が商品の生産を介して価値を創出する過程について、人による労働力のみが新たな価値を生み、価値から賃金を引いたものが余剰価値として利潤になるというのが基本です。不思議なようですが、確かに反論できない。「全ての価値は手数料だ」と考えればよいのかな?

このモデルは農村から都市へ低賃金の労働予備軍が流入し続ける限り、利潤の再投資を繰り返すだけで、資本が際限なく拡大していくという、新興国型の高度成長をきれいに説明してしまいます。一方先進国において資本が拡大するには、労働生産性の向上が本質的に重要ということに。これは一般に不変資本である生産設備の比率を増大させるので、最終的には利益率の低下を売り上げの増加で補う形になる。

で、最近の日本企業はどうでしょう?不思議なことに労働生産性の伸びは止まっているにも関わらず、利潤が増えて利益率が上がり、「国際競争力が強化された」と企業経営者は胸をはってます。マルクスは敗れたのか?

何のことは無い。「労働者の賃金を削減し、その分を企業利益につけかえているだけ」と考えれば説明できるではないですか。だとすれば企業利益が向上しても賃金が上がらないのは当然じゃん。

う〜む、こりゃ詐欺みたいなもんだ・・と、私の中では凄い結論に。日本経済の行方に興味があれば、これは必読かも知れません。

マルクス経済学の現代における意義とは ★★★★★
 宇野弘蔵と言えば、いわゆる「宇野学派」と呼ばれる学者集団の生みの親となった大家である。氏の理論の特徴は原理論、発展段階論、そして現状分析という三段階論にある。本書はそのうちの原理論を扱っており、この分野は宇野理論の中でも最も完成度が高いとされている。しかし、それは反面ではそのほかの2分野、とりわけ段階論の理論的な脆弱さを示している。
 マルクスの「資本論」を再構成し、非経済的な要素(主としてイデオロギーに基づいた窮乏化法則や社会主義への希望的観測)を捨象したのが本書である。膨大な量の「資本論」を流通論、生産論、分配論の三部構成に組み替えた宇野の論理的思考力はまさに圧巻であり、宇野の真骨頂を示すものとなっている。しかし、本書では抽象的な資本主義像(いわゆる「純粋な資本主義社会」)を描くことに専念しているため、ここでの成果を今日のような複雑な経済現象の分析に対していかに活用するか、もしくはそれができるのかは明らかとなっていない。宇野氏が原理論を経済の現状分析を行う際の基準として規定しながらも、他方では具体的な経済分析に対して「無手勝流」を主張されたのも理由のないことではないのである。
 ところで、この著書には旧版(いわゆる「旧原論」)が存在し、読者によってはそちらの方が高い評価を受ける場合もある。分量としては旧版は新版の2倍であり、その分だけ理論的な説明も懇切ではあるが、多少とも論理は荒削りなものとなっている。どちらにしても、マルクス経済学を学ぼうと考える読者はこの両者を読む必要があると思われるが、そのためには古典的な名著には付き物である難解な記述を克服しなければならない。その意味で本書を読む読者には人一倍の根気が必要とされる。しかし、ある程度の時間をかければ誰にでも理解できる内容である。そして、本書にはそれだけの努力をかける価値が十分にあるものと思われる。