ぜいたくな短編集
★★★★★
楳図先生はかつて「短編だから早くできた、という作品は一つもなかった。このテーマは、優に二百枚くらい必要だなとわかっていても、どんどん仮借なく切り捨てて20〜24ページにした。制作にはいっても、あるくやしさと、もったいなさがあった。しかし、そのもったいなさに、精神のぜいたくがあるような気がした。その捨てられた部分が多ければ多いほど、テーマは明瞭になり、深い霧が流れ、峻烈な岩肌にじかに触れたような感じだった。」と語っています(ビッグコミックオリジナルにて)。
このシリーズは「内なる仮面」「愛の奇蹟」「ドアのむこう」と3冊出てますが、先生の言葉通り、どれも最高にぜいたくな短編集です。「イアラ短編シリーズ」というタイトルですが、「イアラ」と直接の関わりはないようです。「イアラ」が単行本化される際に、編集部が前後に描かれた短編とともに「イアラシリーズ」として一緒に刊行したということらしいです。