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一条天皇 (人物叢書)

価格: ¥1,995
カテゴリ: 単行本
ブランド: 吉川弘文館
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歴史の重みと人の哀しさ ★★★★★
一条天皇といえば、「源氏物語」、「枕草子」、摂関政治の絶頂期と藤原道長、平安時代きっての公家日記である「権記」・「小右記」、三船の才の藤原公任、などなど枚挙にいとまが無いほどに多面的で創造性豊かな時代を生きた天皇です。現在の天皇家につながる系統を確定した天皇でもあります。
本書のすばらしさは、いわゆる「大鏡的な」視点ではなく、道長覇権の確立に一条天皇自身の意思がかなり大きな影響を与えたことに着目している点です。(幼児期の一条天皇が道長と同じ殿舎で暮らしたことの影響にも触れています。)円融天皇の一人っ子であった一条天皇にとって道長は最も身近な「ミウチ」だったことに改めて気付かされました。とても愛情豊かな人だったんだなあ、とも。
一条天皇随一の側近である藤原行成が案外利に聡く、道長有利な状況を確立するのに手を貸したことになるのも、かえって行成に人間味を感じます。
皇統のレガリアとして「葉二」が後の後朱雀天皇に伝えられた点に歴史の重みを感じます。それにしても一条天皇崩御のくだりは涙無しには読めません。(数え年で31歳ですよ! 父親の円融院は享年33歳、非運な中宮藤原定子は享年25歳、みんなとても早死にです。)人の一生の哀しさと死ぬことは誰にとっても平等で同じ、と。死ぬことの厳粛さが伝わってきます。