この設定自体は非常に面白く、優れていると思うのでが、作品の展開が史実をおいすぎている気がした。私としては、もうすこしサスペンス性の高い展開を期待したのだが・・・
よい作品だとは思うが、私としては「逃亡」のほうが好きである。
正直な所、上巻とほぼ同時に読み始めた同著者作である『薔薇窓』に気をとられはしたものの、下巻に入り久々に胸ときめいてしまったのは語り手である“香田少尉(昇進してゆきます)”。著者の思惑は全く別な視点であると承知の上ですが、女性ならこの『ヒトラーの防具』という歴史小説、思想哲学とも言えるこの作品を支える語り手に、心を奪われるのではないでしょうか?!