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緑の世界史〈下〉 (朝日選書)

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 朝日新聞
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化石燃料の開発と工業化―人間社会の変化と自然環境の汚染― ★★★★★
かつて人類にとってほぼ唯一の燃料源は木だった。森林を伐り尽すと、当時は低質な燃料とされていた石炭を使わざるを得なかった。しかし、処理技術の発達により石炭は普及する。再生不可能なエネルギー源への転換だ。その後開発される石油および天然ガスもまた再生不可能なエネルギー源である。

また、燃料から電気を作るようになったことは、19世紀のエネルギー開発における最大の発展だった。電気はエネルギー形態として極めて便利で、エネルギー供給のあり方を根本的に転換させた。それに伴いエネルギー消費量は著しく増加した。

廃棄物による環境汚染は古くから存在するが、工業の発展とともに廃棄物の種類も量も急増した。1945年以降急速に発展した合成化学による製品は、生物分解を受けにくく長期に亘って残留し、食物連鎖による生物濃縮で生態系を脅かす。原子力の利用による放射性廃棄物もまた処理の難しさが問題だ。そして、著者が人類最大の脅威とするのが、温室効果ガスの大量排出による地球温暖化である。

そのほか、栄養状態と公衆衛生の改善による伝染病の激減、人口圧の増大と食品工業の発達による農地拡大、都市の拡大と交通の問題等について取り上げている。

本書が世に出てから20年近く経った今、地球温暖化を巡る議論はいよいよ活発になってきた。ITの発展からスマートグリッドが提唱され、スマートグリッドと相性が良さそうな電気自動車の普及も期待される。排出(権)取引の導入など経済政策においても経済活動が生む環境負荷が考慮され始めている。著者のポンティングも時代の変化に対応して原著の改訂版を書いたようだ。こちらの邦訳を望む。