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共同体の基礎理論 (岩波現代文庫―学術)

価格: ¥882
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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名著の力 ★★★★☆
マルクスの唯物史観とウェーバーの経済史の幸福な結婚ともいえるのが、大塚史学。その脇の堅さ、均整の取れ方、何よりも、「大著は愚著である」というリスクを見事なほど回避した小冊子にして豊富な内容。明治生まれの「文科系」の学者は実に偉かったと思う。本書は、疑う以前の知識の下地作りとして、昔はみんな読んだものだった。でも、ふと我に返って、今考えると、この本は、一体なんなのだろう、これは歴史だろうか。絶対に違うと思う。「理念型」が方法論上、やむを得ないというを言い訳(?)に開き直って、個々の事象をあまりにも捨象し、ビューティフルに纏め上げた「おはなし」が歴史である筈はない。目的論的にも、方法論的にも、こんな風にまとめてしまって、一体何がしたいのか。何処の国の話をしているのだろう。事実を特定できない観念(理念型)だけの比較考証は、学問めかした似非歴史学ではないか。欧州の田舎を見聞して、残存する古い風景に遭遇した時、この本の提示する枠組みに、事実をぶち込んで納得したこともあったが、それでよかったのだろうか。でも、何か指標がないことには始まらないし、色々疑問に思えることに出会えたこと自体、幸せなことかもしれない。それは本書あっての体験だ。名著というのは、やっぱりいろいろな力がある。
薄いと思って油断していると ★★★★☆
薄い小冊子と思って油断していると専門的で深い内容に圧倒されます
『共同体』という存在に対してのベースになる基礎をばーっと把握するには
最適な本ですが、最新のものと比較するとやっぱり古いなあと思う点も幾つか
「アジア的」形態→「古典古代的」形態→「ゲルマン的」形態と単なる相違の問題
と思われる点を進歩の道筋のように書かれている点などがその最たるものだと思います。
その辺をコントロールして読む必要はあります
題名のごとく!! ★★★☆☆
本著は、共同体の基礎的な教科書です。
共同体のの本質、成立を資本主義以前の社会まで遡って紐解きます。
そして、段階を追って血縁的関係を基礎におく共同体から
血縁関係を基礎に持たない隣人集団である村落共同体へと発展する過程を歴史的記述、
マルクス資本主義を根底に置きながら分析しています。

 共同体の原初的形態から、丁寧に説明されているので
共同体の成立と発展を知りたい人にはお勧めです。
 本著は戦後改革の時代に書かれたものであり
発展段階説をとっているので、少し古く感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、
ひとつの説として共同体の勉強に役立つでしょう。
文章は少々難解なので、薄いですが読み応えは結構あります。
 

<本著の経緯>

著!!者 大塚久雄氏の研究テーマは
資本主義の発生と発展の歴史であり、
その過程に「共同体の解体」とうい一説を含んでいます。
その崩壊を語る前に、広く「共同体の」本質、成立と解体の
諸条件を理論的にみなおす必要から書かれました。

<本著の構成>
 骨格は近代以前の富の基礎的な範疇である

「土地」の共同体的占有を出発点とし、

共同体の発展段階を
 アジア的形態→古典古代的形態→ゲルマン的形態
      としています。
 (マスクスの「資本主義的諸形態」に習う)