唐紙屋として
★★★☆☆
著者は京都にただ一軒残る昔からの唐紙屋のご主人。江戸時代から伝わる版木を使って、手刷りで唐紙を作り続けている。
本書は文章メインだが、以前の著作『唐長の「京からかみ」文様』(紫紅社,2003年)には、カラー版で唐紙の文様が紹介されている。合わせて読むと良く分かるし、楽しいだろうだろう。私も『唐長の「京からかみ」文様』を読んでいたからこそ、本書を手に取った。
内容は、ちょっと散漫。唐長の発祥、江戸時代の唐紙、京都市内の寺社での修復作業、サラリーマンを辞めて唐紙屋を継いだこと、版木についてなどなど。それぞれに面白いトピックではあるのだが、ひとつずつもっと詳細に語って欲しかった。
合い間には人生訓のような文章が入るのだが、この部分は必要ないのでは?
とはいえ、唐長は、読むほどに訪れたくなる店だ。