① スティーブを迎えての最初の作品(PURPENDICULAR)である前作は、良い意味で、スティーブの新しい要素がDEEP PURPLEのメンバーのDP的な要素と正の方向で化学反応を起こした素晴らしい作品であったように思うが、当作品では残念ながら、その当時の勢いは失われているように思う。その原因としては、①前作から当作品までの制作期間が非常に短かった事(ツアーもこなしながら、前作から確か2年弱で製作されたと思う。実際に前作並に煮詰めて製作されたかどうかは正直疑問だ・・・)、②前作と同様の路線、というものを意識しすぎているような気がする(正直、前作と似ている曲が多い気がする・・・)。
② ネガティブな話ばかりであったが、収録曲について説明を付したい。個人的には①④⑥⑩⑫がお気に入りである。①は前作のTED THE MECHANICに似た、スティーブの持ち味が発揮された佳曲である。④はDPらしい曲で彼らのハード面が垣間見れる。ライブでもよく演奏されていたようだ。⑥もスティーブのギター良いミディアムテンポの良い楽曲だ。⑩は来日公演でも演奏され非常に盛り上がりを見せていた曲のように思う。当作品の楽曲群の中ではずば抜けている曲である。70年代前半の彼らのエッセンスを現代風にアレンジした曲であるように思う。⑫はリメイク版(IN ROCK収録曲)である。当作品で聴くのが良いと思う(というのも、ライブ版では声が出ていないので、正直、「ヤバイよ、ギラン」という感じだ・・・)。
上記のような特徴の当作品であるが、正直ビギナーのリスナーにはお勧めできない。というのもDPの良い面があまり当作品の中では見られないからである。DPマニアの方は、リッチーのいないDPの作品なんか聴くかいな、と言わずに、聴いて欲しい。というのもDP的な要素は当作品にも随所に見つけることができるからに他ならない。