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ヒルベルという子がいた (偕成社文庫)

価格: ¥735
カテゴリ: 単行本
ブランド: 偕成社
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ヒルベルに何ができるのか ★★★★★
出産時の頭の外傷のために、ヒルベルは頭痛に悩まされる。そしてヒルベル以外の人間は、理解できない行動を起こす頭のおかしい子どもだと思っていた。ヒルベルを理解しようと歩み寄る大人もいるが、ヒルベルの心の中に寄り添うことは出来ない。この絶望的な現実をヘルトリングは淡々と描いている。

誰もがヒルベルを馬鹿だというが、実際のヒルベルは馬鹿ではなかった。自分を守る術を知り、悪ふざけをすることで悲しみから逃れようとした。しかし、私は悲しい現実を突きつけられても、ヒルベルを引き取ることは出来ない。この物語のありきたりの結末に、自分の置かれている立場の無力感を感じる。

病院に収容されたヒルベルはいつしか忘れられていく。マイヤー先生を除いて。しかし周りを見渡せば、ヒルベルは今もいる。理解されず手をさしのべる大人もいない。施設に入れられ記憶の片隅にひっそりと生きていく子ども達だ。本書は、私にとって忘れられないつらい物語だった。今もいるヒルベルのために、何が出来るのだろうか?この問いかけは長く私の心を揺さぶり続けるだろう。
現実から目をそらさない ★★★★☆
アンチメルヒェンの傑作と言われる話題作。
生まれたとき脳に障害を負ってしまった少年・ヒルベルのお話です。
子どもも大人も自然も美しいだけのものとは描かれず、ともすれば創作の中で美化されがちなチャレンジドの方たち(ここではヒルベル)を良くも悪くもありのままに見つめています。
人生はそううまくいくものじゃないんだとつきつけられるようにハッピーエンドではないので、必ずしも読後感がよいとは思えませんでした。
著者・ヘルトリングはヒルベルの前にいろいろな「家」「居場所」を提示しますが、そのどれもがヒルベルを受け入れてくれません。
しかしだからこそ、ヒルベルことが忘れられなくなります。
ヘルトリングはあとがきで、この本を読んで障害のある子どものことをきちんと考えてほしいと書いていますが、そういう意味では成功していると思います。
ヒルベルは今もいる ★★★★★
~ 作者のヘルトリングは、「良い」とか「悪い」とか、「善」とか「悪」とかを読み手に押しつけたりせずに、ヒルベルを取り巻く日常を描写していきます。そして読後、僕たちはヘルトリングからまっすぐにさしだされたこの物語について考えさせられることになります。

 「子供たちの質問に答えて」と題された著者あとがきや、「付・ひとりの読者から」とし~~て巻末に置かれた河合隼雄の文章も読み応えがあります。~

たましい ★★★★★
「ヒルベルって、ほんとうに悪い子だよ。」
と、ホームのこどもたちはいった。これはこの本の出だしです。

ヒルベルは出産のときの外傷のために、原因不明の頭痛や発作を起こしたりします。言葉も上手く話せません。父親は不明で母親にも見捨てられてたのです。あるときヒルベルは遠足の途中で一人ぬけだしてしまいます。当然警察へ届けなければなりませんが、施設の先生たちはヒルベルがこの施設にいられなくなるいことを気遣い、眠ることも出来ずに朝を待ちます。そしてヒルベルは帰ってきました。羊の群れで眠っていたのです。ヒルベルはこの羊の群れをライオンと言って、一緒に行動し嬉しかったことを好きな女の子にだけ話したのです。とてもすらすらと。(実は、このヒルベルというのは彼の本当の!名前ではなく、あだ名なのです。ドイツ語でヒルンは知能を、ヴェルベルは渦とか混乱を意味します。)楽しい遠足で一番楽しく冒険したのはヒルベルではないでしょうか? でもそれはだんだんと大人たちの手に余ることでしかないものになるのです。ヒルベルは最後の脱走で警察にとらえられ、病院へ追いやられてしまいます。当然必至で抵抗します。けれどもそれは、施設の優しかったはずのお医者さんの「発作だ!」という一言で片付けられてしまうのです。著者のヘルトリングは――だいじなのは、ヒルベルのような、病院や施設でくらさなくちゃならない病気の子どものことを、きみたちが知るということなんだよ。――と言います。