バランスの取れた良書
★★★★★
派手なキャッチコピーや有名大企業の事例で目を引く本ではないが、会計士や大学教授ではなく経営現場に近いコンサルタントならではの実践書。
金融機関の法人担当・企業の経理財務や経営企画部門に配属となった新入社員、管理職として財務分析を身に付けたい人などにお薦めする。
中級以上の実務担当者にも参考となる切り口が多い。
おそらくはクライアントとの喧々諤々のやりとりが下敷きになっているからだろう。
すなわち、製造業を中心とする日本企業で行われている良き経営管理のエッセンス、中小企業の決算レベルに合わせた活用方法、会計監査側の実務の視点といった、実務家が欲するであろうポイントを、分かりやすく会話文によって解説してくれる。
なぜ仕入先の財務分析が必要か、製造原価と売上原価の違いは何か、変動費と固定費の分類方法、簡易キャッシュフロー計算書の作成方法などなど、他の本ではお目に掛けない、実践的な「基本」を教えてくれるのが本書だ。
索引付きなので辞書としても使える、バランスの取れた良書。