李白はお好きですか?
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月下独酌。月と影と自分で三人になる。酒とは、そして酔いとは詩人にとって、どんなに深く震えるような霊感を呼び起こすものだったでしょう。そして酒とは、遣る瀬無いせつない涙に惨めにひたすらに溺れる、苦しみと孤独を一人姿を隠して耐え忍ぶための何と美しい最上最高の手段であり方法であった事でしょうか。中国は今こうした詩人のいた国とは全然違った経済大国になろうとしています。しかし多分心のどこかにはこうした美しい感情が、優れた志が、そして天下国家を憂う立派な決意があると信じたいと思います。
そして多分こうした古い中国の文学は外国文学ではなくて我が日本の文学でもある。多くの詩的な感情のよりどころとなって来た。酒と詩人。それは日本文学にとってきってもきれない関係です。男は酒を飲んで初めて自分を許すことが出来る。だからこそ、自分のために飲む必要がある。心と魂の開放の為の酒がある。夢を語り、過去に遡る。酒は人を詩人にします。
漢文が苦手でも李白は好き。そんな気持ちにきっとなれると思います。この飄々とした月の世界に住んでいる詩人が好きにならない人は多分この世界に存在しない。美しい冷たい雫のような言葉があなたの心に染み透ります。