ハンス・ロットは26歳で亡くなったドイツの作曲家。
ブルックナーの愛弟子としてウィーン音楽院で学んでいた。
当時、交響曲第1番「巨人」や第6番「悲劇的」等を作曲したグスタフ・マーラーは学友。
ロットが音楽院卒業時に行われた作曲コンクールで提出した曲がこの交響曲第1番の第1楽章。
しかし応募者の中でロットだけが落選した。それにより彼の心はひどく傷ついたが、めげずに残りの楽章を短期間のうちに完成させてしまった。
完成した作品をブラームスに見せに行った事がロットの人生を大きく変えてしまう。
ブラームスはロットがピアノで弾いた交響曲第1番について嫉妬し、
ロットを作曲コンクール落選時以上に傷つけてしまう。
それによりロットは精神異常者になっていく。
後に仕事へ行く途中の列車の中で発狂し、病院送りになる。
そのまま病院から出ることなく、度重なる自殺未遂を繰り返した後、肺結核を患ってこの世を去った。
若くして亡くなったので作品数は非常に少ない。
その中でもロット渾身作品ともいえる交響曲第1番は後のマーラーの交響曲に多大なる影響を与えたといえる箇所が何ヶ所も出てくる。
第3楽章なんかは「復活」のまんまのメロディだし、少し進むと第5番の第3楽章のフレーズすら出てくる。
第1楽章は「ブルックナー風のエデン東」だし、始まり方も恩師の影響を受けてブルックナー調だ。
極めつけは第4楽章。ブラームスの交響曲第1番第4楽章のパクリ。多分これを聞いてブラームスは激怒したのかも。
ブルックナーやマーラー、ブラームス、ワーグナーが好きな人は是非一度聴かれることをお勧めします。聞けば聞くほど味の出てくる感動的シンフォニーがこの作品です。