また、世界・日本の名器についての評価はとても面白く、中学生の頃、ギターのカタログを集めて毎日眺めていた感覚を思い出させてくれた。いつも、寝る前にグレン・グールドの「ゴルドベルク変奏曲」を聞きながら読んで、しあわせな気分になれる本である。
それでピアノ屋さんへ行ったり、ネットで調べたりしたのですが、そこで判ってきたことがありました。それは、ピアノの先生は教えることはできるけどピアノそのものについてはあまり詳しくない(みたいです)ということ、大手メーカー系列(または特約店)のピアノ屋さんは、自分の店で扱っているメーカーが一番良いというだけで他のメーカーについてはなにも教えてくれない、ということです。
では誰が詳しいのか、それは調律師さんでした。
調律師というと音程を合わせる人くらいにしか思っていませんでしたが、なかには自分の工房でピアノをバラバラに分解して組み立てなおすようなスゴイ人もいます。
この本の著者は、本職は塾の講師で他にも高性能住宅の研究家、ピアノの調律師・研究家、フリーライターという肩書きの方で、この本は自分の経験から書かれているようです。
ピアノは中古でも新品でも結構な価格ですので何度も買い換えるわけにはいきません。そのためどうしても買う時は慎重になってしまいます。でもどう選んだら良いのかは一般に知られていないのではないでしょうか。同じ形なのになぜあんなに値段が違うんだろうかとか、高いのと安いのどちらを買った方が良いんだろうかとか、どんな店で買えば良いんだろうかとか。そんなふうにピアノ購入で悩んでいる人に本当にお奨めの本です。
でも、逆に悩みは増えるかもしれません。
自分自身も日本の大手メーカーの新品にするか中古にするか、値段はいくらにするか、元々そのくらいのことでしか悩んでませんでした。
ですがこの本では、無名で小規模ながらも独自のアイデアや昔ながらの職人気質を持ってピアノを作り続けているメーカーとそのピアノが紹介されています。お父さんにはそんなピアノがだんだん魅力的に思えてきて悩みが増えてしまいました。
子供に買ってあげるものなのに、今お父さんは自分が欲しいものを買うみたいに悩んでます(自分もピアノ習おうかなあ)。
星が4つの理由:紹介されているピアノの型番と値段が最新でないものがある点で星1つ減点としました。