本質的な鋭い論考
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著者は1900年生まれ1960年に亡くなった人だが、その論考は鋭く本質的。
「日本のこころ」ではアメリカ人ホワイトカラーの仕事ぶりの賞賛と代償としての余暇のすごし方への問題点がまさに現代日本を予言しているし、「比較科学論」では基礎と応用(実用)の関係を指摘する。「原子爆弾雑話」「硝子を破る者」での戦争に対する考えも冷静で感情に走らない。
「雪」「科学の方法」以上に、理系だけでなくむしろ中学生以上の一般の方に大推薦します。
中谷宇吉郎随筆集
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きれいな状態で、すばやく納品いただきました。申し分ございません。
科学技術に携る人は必読です!
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本書は、雪と氷の独創的な研究に一生を捧げた中谷氏の随筆をセレクションしたものです(執筆年代は大正末期〜昭和35年頃)。素晴らしいの一言につきます。思いつくままにその魅力を紹介します。
1)科学とはどうあるべきかを軽妙洒脱に綴っているところ(決して大上段に構えることなく、完全な自分の言葉かつ自然体で書いているところがよいです。)
2)今から50〜80年前に執筆されたのにもかかわらず、内容的に全く古さを感じさせないところ(表現はさすがに昔風ですが、その論理は驚くほど現代的です)。この版は、活字が大きく、また現代風であるため、よけいにそう思われるのかもしれません。
3)特に「霜柱の研究について」は科学的であることとはどういうことかをこれほど分かりやすく示した文章はないのではないか、と思わせるほど魅力的です。
4)科学技術研究が細分化させた現在であるからこそ、本書の魅力はますます増えているのではないかと思えます。
科学者よ今こそこの本を手にせよ
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久々に出会った快作。筆者の専門である科学に始まり、芸術にまで話題は上るが、どの文章も平易で、主題がぶれることなく、著者の人となりを表現している。物事をきちんと捉え、それを言葉にしている作品だと思う。
月夜書店
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寺田寅彦の弟子にあたる、人工雪の研究をしていた人。化学の話をやさしく興味深く語り、先生=寅彦を敬愛する様子も感じられる。
空耳書房
★★★☆☆
寺田寅彦つながりで読みました。わたしの故郷とちょっとした縁もあったりして。寺田寅彦は明治人って感じが漂っていましたが、この人はなんていうか、いろいろなことに対するゆるっとした感じがいいです。雪の結晶の研究も「不思議に思ったから」「おもしろそうだから」とそんな感じです。でも、本来、自然科学の研究ってそういう素朴な疑問や興味から生まれるべきものなんだろうな。