しっかりした解説
★★★★★
百人一首は非常に有名ですが、そこに出てくる和歌は、学校の教科書で取り上げられているものを除くと意外に知られていないようです。しかし、たったの百首しかないし、どの歌も魅力的で味のあるものばかりですから、本書の詳しい解説を見ながら毎晩一首ずつ読み進んでいくのも一興なのではと思います(中期的な計画ではありますが)。本書は学術文庫というだけあって、和歌の解釈にとどまらず、参考になる予備知識などにも実に懇切丁寧に触れていて、かなり深い学習も可能となっています。ですから、「現代語に直してはいるんだけど、結局、作者がどんな境遇にいてどんな感情を込めて詠んだ歌なのか分からない」というようなことにはなりません。文庫本のわりに値段は高いのですが、百人一首に少しでも興味をお持ちの方でしたら、買って手元においていても損のない本だと思います。