「田辺聖子の百人一首」では、氏特有の軽妙な語り口で、百の名歌をユーモアたっぷりに紹介しており、初心者でも無理なく百首の意味や作品の背景などを学べます。とりわけ王朝和歌は作品を個別に読むだけでは意味が分からず、詠まれた状況や歌人の人生などを知らなければ十分に味わえないものが多いのですが、この本にはそういった予備知識がたっぷりと収録されており、千年前に生きた王朝歌人たちがより身近に感じられることでしょう。
また、現代の若者らしくちょっと軽薄な「与太郎青年」と、無粋だけれど憎めない「熊八中年」という二人の古典初心者が、作者自身らしい知的な女性との対話を通じて和歌の魅力を探っていくという設定も、作家の書いた本ならではの楽しさを味わわせてくれます。
百人一首を覚えようと思い購入したのですが、うたの詠まれた背景がわかるとすうっと頭に入って来ます。
闇雲に暗唱するよりもずっと楽しいですね。
百人一首を覚えたい人も、日本史が好きで読み物を探している人にもお勧めします。