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むかし・あけぼの―小説枕草子〈上〉 (角川文庫)

価格: ¥740
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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どうしても処分できない本のひとつです ★★★★★
上巻では華やかできらきらした後宮の、後半では一気に運命が暗転していく女主人と少納言の運命が語られています。

一度、この文庫を処分しました。でも、どうしても文章の断片・情景の断片が浮かんできてまた買い直してしまいました。この作者の他の王朝物は物によって非常につまらないものになってしまっているのですが、この作品だけは文句なしの5つ星です。不幸に嘆くよりも、不幸の中の幸福を「おもしろがる」そんな少納言の想いと彼女の女主人であった定子中宮の明るさがエピソードの中で、浮かび上がってくるのですが、それを書く作者の視線は暖かいけれどとてもクールです。
 折りに触れて開いては読みふけってしまう物語です。
言葉も美しく、直感に彩られて、作者の個性も浮き彫りにされている ★★★★★
田辺聖子の手にかかると枕草子の
「月の明るい夜、牛車の歩みのまま川を渡るときの様子は、
水晶が砕け散る様に似ている」という箇所は
19世紀のフランスの絵や小説を
思わせるような美しい言葉で訳される。
気難しくて博識なる老人橋本治も
枕草子の訳に関しては田辺に及ばないだろう。

他の訳や解説では身につまされることがなかった
頭を洗って化粧をしてよい香をたいて
一人で寝ていたという状態の清々しさも
小説の中でこの前後のストーリーが
補われているので、よくわかり、はっとさせられた。
梅原猛は、この状態は男の訪れをまって心ときめいているのだ、
としていたが、田辺聖子はむしろ、男だけではなく
自らの将来や仕事への期待と不安で
ときめいているとしているようだ。深い洞察がある。

ほか、清少納言に仮託して
田辺は中宮定子を輝く日の宮、藤壺中宮のモデルに擬している。
藤壺は男にとってこの世では断念せざるを得ない理想の人で
また中宮、出家、三条の宮、というコードに彩られている。
藤壺は最近の研究では冷泉皇后がモデルとされているが
本当は昔に池田亀艦が文庫本でさらりと書いていた
藤壺=藤原定子のほうが直感的にことをうがっていたのではないか
と思われる。ちなみに池田氏は桐壺帝は
桓武天皇が一つのモデルとしていた。
醍醐天皇をモデルとするより
平安京の人々にとっても伝説的に偉大な帝王という点でこちらも
うがっていたような気がする。
人びとがあまり語りたがらない前東宮は早良親王で、
そして洛北の大内裏にある表の体制に対して
洛南の六条院を主宰する光源氏を
六条の御息所の霊は平城京の旧勢力とともに守り立てているという
最近の興味深い論も池田説の鋭さを裏付けるように思う。
話がそれたが「むかしあけぼの」では同時に中宮彰子を
若紫のモデルに擬している。一方、橋本治は彰子は幼い女三宮
のモデルではないか、としている。紫の上と女三宮は
実は双生児の俤をもつので、どちらも同じことだ。
物事を好意的にみようとする田辺と
意地悪くみようとする橋本の資質が際立って大変興味深かった。
耽読するには…… ★★★★☆
この作品の魅力は、何と言っても「平安もの」が親しみやすい文体になっていると言う点だと思う。
勿論、文体の巧みさだけでなく「高慢で自慢ばかりするインテリ」のようなイメージの清少納言を、見識があり、
感性豊かでサッパリした気性の女性に仕立て上げていると言う人物造型は流石。
こう言った「田辺オリジナル」が好きな人はグイグイ引っ張られてあっと言う間に読み終えてしまうに違いない。
けれど、良くも悪くもアクのある文体であることは否めない。
斯く言う自分は途中で挫折しそうになってしまったのだが、時折現れる美しい描写のお陰で挫けなかった。
やはり巧み、と言うことなのだろう。星4つ。
女流エッセイストの原点! ★★★★★
 この本を読んで、突然エッセイを書き始めたりした人、結構多いんじゃないでしょうか?私もその一人でしたが・・・(笑)
 それくらい影響力のあるこの作品。
 「豪快さと繊細さ」を併せ持つ清少納言の視点で、彼女を取り巻く宮中の華やかな貴族の生活が語られます。
 平安文化の雰囲気に浸れるだけでなく、歴史的背景も学べる傑作で、読んだ後、なぜだか京都に行きたくなります。
現代人だからこそ共感できる清少納言像 ★★★★★
学生時代に習った清少納言は、自慢たらたらのひどくペダンチックな人間だった様に思います。 ここに出てくる彼女には、「ねえねえ、メル友になって、メールのやり取りしましょ?」と言いたいくらい、自分の意見をはっきりいう私の好きなタイプの人間。 宮使えに出て世界が一気に広がった時の躍動感、定子中宮にあったときの憧れなど、いつの間にか千年の時を越えて、自分の人生と重ね合わせて読んでいました。 自分をの感情を包み隠して莞爾として微笑んでいるのが良しとされた時代に、こんなにハッキリ好き嫌いを言ってしまえる彼女には女性なら誰でも共感を覚えるのでは無いでしょうか?

是非読んでみてください。 「この世をば」と並んで私の一番好きな平安物です。