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新源氏物語 (上) (新潮文庫)

価格: ¥704
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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登場する全ての女性達が生き生きと美しく描かれていて素敵です。 ★★★★★
源氏その人よりも、紫の上を始め周りを取り巻く女性達の描写がたおやかで思わずため息が漏れるほどです。
華麗な衣装や催しの描写、典雅な言葉遣いだけでも読む人をうっとりさせてくれるので読む価値は充分ですが、田辺聖子さんのユーモア精神が一番生かされていたのが、かの醜女・末摘花のくだりでしょう。
姿形の見っとも無さだけでなく、末摘花の融通の利かなさ、気の利かなさ、無骨さがいくつかのエピソードと共に面白おかしく描かれていて「こういう女性、現代にもいるなあ」と苦笑を誘います。田辺さんの筆は、末摘花の惨めさを優雅で美しい源氏との対比に於いてただ強調するのではなく、二人のズレの部分をコミカルに愛情深く映し出す事に成功していて読後感はとても爽やかです。

本編と全く関係がないのですが、とても頻繁に「それにつけても」という言葉が出てきて、コマ−シャルに侵された私の頭にはこの言葉を見る度にどうしても「おやつはカー○」が浮かんでしまって困りました。
きっと誰かに共感できますよ。 ★★★★☆
田辺さんの分かりやすく、読みやすい品のいい文章。
とっても読みやすいです。

また、源氏を中心に色々な女性の生き様が出てきます。
各女性がきちんと個性を確立していて、
様々な方法・形で男を愛していくのですが、
きっと登場人物の中の誰かにあなた自身が被ると思います。

プライドが高すぎて素直になれない女。
男の理想を終結させた女。
容姿ではなく、中身で勝負する女。
天真爛漫が売りの女・・・・。


誰かを参考にあなた自身の魅力を高める指南本にも
なるかもしれませんね。
優艶でふっくらした田辺源氏 ★★★★★
 原文からかなり離れ、現代語訳と言うより、現代版「田辺源氏」と言っていいほどに思いきった新しい源氏物語を再構成している。 古風な晶子源氏より優艶でふっくらしている。著者の読み馴染んだ源氏の魂の深部を、現代の読者に深々と語ろうとしている。縦横に場面を切り取り、人物を膨らませ、人々に優しい言葉を語らせている。桐壺・帚木で源氏を読まなくなる読者もあるが、本書は初めの両巻がなく、三巻目の空蝉の巻から語り始めている(雅)
一番オススメの訳です。 ★★★★★
初めて源氏物語を読破したのはこの作品でした。
この本を読む以前に子ども用のマンガで入門のようなものを読んで
興味をもっていたのですが
念願の源氏物語を読破できたことでとても幸せだったのを覚えています。
それからほとんどの有名な源氏物語の訳を読んできましたが
やはり最後に一番お話として面白く書かれているのはこの本だと
気づきました。ほかの方もレビューで書かれていましたが
読みやすく独特のテンポで、まるでやさしいメロディーのような、
訳者の源氏物語への愛情までもが伝わってくるような文体です。
内容もとてもわかりやすく面白く作ってあり、原典では分かりにくい
登場人物の感情の流れも書かれていて学問ではなく小説として
しっかりとした読み応えがあります。
これがきっかけで私は古典に興味をもち、原典を読みたくなりました。
そのときから古典は勉強でははくなり、楽しみや趣味になってしまいました。
この本にはそれだけの力があると思います。
とてもオススメです。
心に染み入る日本語 ★★★★★
 現代語訳以外の、アレンジされた源氏物語は数多くありますが、個人的にはこの本がとても好きです。

 美しくやわらかな(決して難解な表現はないです)ことばが、登場人物全てに愛情を持つ田辺さんによって、リズミカルに紡がれています。
たおやかな文章に心が解きほぐされ、ことばが染み入ります。
 
 こちらは原文に忠実に訳されたものではなく、田辺さんによる「新しい源氏物語」です。
 厳密な意味での受験対策などには、忠実な現代文訳の併読が必要かと思います。 
 
 私は受験勉強で大筋を知った程度だったのですが、この本(全3巻)を読んで源氏物語に対するイメージが変わりました。単なる男女の愛憎劇に終わりません。
 
 やさしい文なので、こま切れの時間を利用して読むことも出来ますが、時間や精神的に余裕のあるときに何度も読み返すのにも十分耐えうる本です。
 
 言葉が時と共に変化していくことは自然なことですが、TPOにあわせてこのようなたおやかな言葉を使い分けられると、とても素敵だと思います。
 語彙力もUPしますので、興味が持てたならぜひ手に取っていただきたい1冊です。