セサニーとナンシーは、背丈が30センチもある大きくて古い人形。パンプキンハウスと名づけた、子どもの背丈ほどもあるドールハウスに住んでいる。そこには、ディナーセット、ストーブ、上質なソファなど、人間の生活と同じものがそろっている。子どもたちはクリスマスに、人形のサイズのクリスマスツリーやディナーを作り、人形たちと一緒に本格的なクリスマスパーティーを開く。
この絵本に登場する、子どもの背丈ほどもあるドールハウスは、実際にターシャが幼少期に手に入れたもので、人形と子どもたちの本格的なクリスマスパーティーも、毎年、現在まで続けられているそうである。
昔風のドレスを着た人形が、赤と緑のリースの中に座っているイラストの表紙も美しい。本を開く喜びを増してくれる華やかさだ。クリスマスのプレゼントにもいいだろう。小さくてかわいらしいものがいっぱいに詰め込まれた、夢のような絵本である。(田村恵美)
幼い頃の「魔法の不思議を信じる心」を思い出させてくれる美しいクリスマス絵本
★★★★★
古びた赤い家で暮らしている女の子ローラとエフナーは古い人形を持っていました。人形の名前はセサニー・アンとナイシー・メリンダ。普通の人形ではありません。パンプキンハウスという大きな家で暮らしています。毎年クリスマスにはびっくりするぐらいすてきなパーティーを開いてもらえるのです。人形たちと子ども達に訪れる楽しいクリスマスの絵本。
ターシャ・テューダーの初期傑作絵本、「ターシャ・テューダークラッシックコレクション」の一冊、作者であるターシャの大のお気に入りの絵本です。ターシャの幼い頃の思い出から生み出されました。クリスマスの喜びを2倍にしてくれた人形たちとの思い出に満ちています。「パンプキンハウス」というドールハウスの美しさをターシャの絵で楽しんで下さい。『もうすぐゆきのクリスマス』とともにお勧めのクリスマス絵本。幼い頃の「魔法の不思議を信じる心」を思い出させてくれる美しい絵本です。
ドールハウスファンは必読
★★★★☆
なかなかここまで本格的な「人形の家(ドールハウス)」を代々受け継いでいる人は、日本では少ないので、内容は余り親しみが持てないかもしれません。
でもその反面、「人形の家」に興味のある人には、夢のようなお話で、きっと本の中に吸い込まれてしまうことでしょう。
幸せな人形たちが過ごすクリスマスは、ターシャらしい愛と温かさに溢れています。
素敵な話ではあるけれど、少しだけ違和感
★★★★☆
大人の目になってしまってるのかもしれないけれど、アンとトムのシリーズのように動物たちが主人公として登場するお話と違って、人形が主人公であり、その人形が、かなり裕福なお人形というところに、やや違和感を感じてしまう。
もちろん「古きよき時代のアメリカ」を象徴する点では、アンとトムのシリーズと共通したテーマで一貫しているけれど・・・・
これは、妻と話したのですが、人形に対する男と女の間隔の違いかもしれませんね。
お人形遊びをした女の子には素直に入り込める世界であっても、その経験のない男の子(戦争の人形はありましたけど)には難しいかもしれませんね。
ま、その点はともかく、最後までほんわかさせてくれる話の展開自体は素敵だし、挿画も綺麗で、この人形たちは幸せなんだろうと思いましたね。
古き良きアメリカの風景ー代々読み続けたい
★★★★★
ターシャ・テューダーの絵本を手に取る方は、そのさし絵がとても素敵で思わず手にしたという方が少なくないと思います。コーギーヒルシリーズですっかり魅せられた私ですが、こちらは初期の作品の素朴な感じがまた魅力です。柔らかいタッチの色彩に、どこか懐かしいような、ほっとする時間が流れます。わずかな漢字にもふりがなが振ってありますので、ひらがなが読めるお子さまならひとりで読める程度ですが、母子で読みたくなる本です。