山本周五郎の「キング」に連載された初期短篇を彷彿とさせる
★★★★☆
チェーホフの作家としての転換点とも言える中篇「曠野」を軸に、主として前期の作品から選んで収録されたもの。ただし、「ロスチャイルドのヴァイオリン」と「学生」は”サハリン以後”に書かれた作品で、他の収録短篇と比べるとちょっと感じが違う。
収録作は以下の通り。
「子どもたち」(1886年)
「いたずら」(1886年)
「聖夜」(1886年)
「ワーニカ」(1886年)
「実は彼女だった!」(1886年)
「ヴェローチカ」(1887年)
「家庭で」(1887年)
「幸福」(1887年)
「賭け」(1889年)
「ロスチャイルドのヴァイオリン」(1894年)
「学生」(1894年)
「曠野」(1888年)
松下裕訳「チェーホフ全集」に所収されているものを加筆訂正し文庫化したものとなる。
基本的に新聞かユーモア雑誌に掲載されているものばかりで、分量も少なく筋もわかりやすく読みやすく、かつ飽きない!出来。