■えた・ひにんの身分は政治権力のみによって作られたのではない。
■えた・ひにん身分の中にも大地主になり、裕福な暮らしをしている者がいた。
■履き物、灯心、砥石などの生産・販売もえた・ひにん身分の仕事とされていた。
■えた・ひにん身分の人たちは下級警察的役務にも従事していた。
えた・ひにん身分の人たちが差別されていたことは確かだが、それ以外の人たちとの交流を断たれて社会の片隅に追いやられ、惨めな非人間的生活を送っていたと言うわけでもない。えた・ひにんの実態から、江戸時代の身分差別社会を単純にピラミッド化して考えない方がよいと教えてくれる著作である。