「珠魚(ぎょ)く」の作品集
★★★★★
永年の諸星魚(ウオ)ッチャーとしては、もう賛嘆あるのみ。
2年近くも前に刊行された作品集を、今頃読んでレビューなんか書く私は厚顔無恥の謗りを免れまいが、しかし素晴らしいものは素晴らしい。
諸星作品の質の高さは昔からですが、しかしここ最近は悠揚迫らぬ大家の風情が備わってきて、ますます完成度が上がっているように感じます。第1尾「深海人魚姫」と第6尾「深海に還る」は、真っ向勝負のメルヘンです。もうおセンチなアンデルセンなんか、メじゃない!
諸星大二郎の作品を読みつづけられる幸福を感謝します。
なんだか安らぎます
★★★★☆
怪奇と幻想などと帯にあるのでホラーを期待してました。
しかし、読んでみると恐怖よりも安らいだ気持ちになりました。
「第2尾 鮫人」はちょいと怖いですがサーラの片言言葉の中に見える
優しさや悲しみに胸を打たれます。
「第5尾 魚の夢を見る男」は人生の悲哀を感じさせます。
しかし、悲しい話はこれくらいです。
他の話はなんだか温かい。
童話と思って読むといいと思います。
第6尾、博士とまりんが深海で語り合う場面は非常にロマンティックです。
終わり方も幻想的。良いですね。
ちょっと高いですが、どれもいい話ですのでコストパフォーマンスは良いと思います。
のめりこむわけではないのですが、なんだか手を伸ばしてしまうふしぎな漫画です。
ダァーー!
★★★☆☆
諸星さんの作品で星三つをつけようとは。というか私の好きな諸星作品とちょっと違っていましたので。お話が綺麗にまとまっていて、どこか童話のような感じです。これはこれで素敵ですが・・・やはりもうちょっとダークさが欲しかったなぁ。
諸星イズムは何処へ向かうのか?
★★★★☆
妖怪ハンターや暗黒神話などの伝奇ものが好きな大二郎ファンには、少し物足りないかもしれません。しかし読後のこの幸福感は、今までの作品とはまた違った良さがあります。深海魚の好きな人もそうでない人も、ぜひご一読を。DVDで「BLUE PLANET(THE DEEP)」を観ておくと、内容により一層のリアリティーが加わりますので、こちらもぜひ。二点あわせてオススメです。
幻想的な短編集
★★★★★
第1尾から第7尾まで七つの作品の短編集です。1と6は人魚を題材にした作品。2は古代中国ファンタジー。3は近未来SF。4は栞と紙魚子を思わせるギャグファンタジー。5は中年男性の悲哀を描いた作品。書き下ろしのおまけ的な7とバラエティー豊か。楽しめました。私家版シリーズを続けるつもりは作者にはなさそうですが、昆虫ものなど読んでみたいものです。