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失われた近代建築 2 文化施設編

価格: ¥5,460
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: 講談社
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優れた功績 この出版の計り知れない価値 ★★★★★
日本の文化財保護の遅れは今に始まった事ではありませんが、近代建築の保存については遅れをとり、貴重な数多くの歴史遺産ともいうべき建築物が失われました。
本書に掲載の全ての建物が今はない、という現実が胸を締め付けます。その意味では、増田彰久さんの撮りためた5万枚の写真の貴重さが理解できるでしょう。

表紙に掲げられていますが、三田にあった蜂須賀正韶侯爵邸(後のオーストラリア大使館)が失われたのは大きな損失でしょう。諏訪の片倉館や旧台湾総督府庁舎を設計した森山松之助の作品だそうで、増田さんの写真が素晴らしいのでしょうが、玄関ホールや食堂などの研ぎ澄まされた装飾や美しいフォルムには息をのむ思いがしました。

続いての蜂須賀正氏侯爵熱海別邸も知りたかった建物です。博物学の世界では有名で、風変わりな人物との評判ですが、このヴォーリズ事務所によるスパニッシュの趣味は、周りの木々の印象もあり日本にある建物だとは思えません。20数年前、テレビで取り上げられて以来ずっと気になっていた建造物でしたから、この再会は僥倖でした。

東洋英和女学院本館もヴォーリズの建築でしたか。限られた貴重な土地、耐震性などを考慮すると古い建物を残すのは難しい話ですが、写真はとても素敵でした。藤森照信さんのヴォーリズへの評価は意外に受け取りましたが。

阪急ビルディング「阪急梅田駅」の壁画を描いたのは伊東忠太とのこと。面白いエピソードを教えてもらいました。
「糖業会館」の内部の装飾の美しさは、写真でもしっかりと映し出されていました。風格を感じさせます。渡辺節の設計ですが、大阪の綿業会館との類似性を本書を見たことで感じ取りました。