3部作品で主演の松嶋菜々子は大正、昭和、平成の女性を演じるが脚本家はそれぞれ異なる。
最終章の湯川作品は平成の女性らしく、自由でわがままでせわしない日常をおくる独身女性の素顔を巧く作り出していた。いまや売れっ子の女優、松嶋菜々子だからこそ、嫌味なく見れたと思う。
キャリアウーマンで短気。そして母親の愛情に飢えている現代の女性を好演していて心地よい仕上がりになっている。
そして相手役の渡部篤郎は本当に芝居の上手い役者だと思う。
足をひきずりながら、元ボクサーの哀れさを漂わせる一見ひ弱な青年は、テレビで見せる冷酷な役どころを演じる人物とは別人格。
メイキングビデオなどの話し方などは貫禄さえあるのに。
赤い服の後姿の女性の場面はモノクロで撮っているシーンも鮮やかで印象深いものがある。