表題に「論」とあるが、中身はエッセー(別に「参考になるようなレビュー」を書くつもりは毛頭ないのでそのつもりで・・・
★★★★☆
いろいろと首肯できる点が多い。
「冷めた心はルールを無視する」 ・・・そのとおりだ。
「株主資本主義に日本企業が向かってしまった」・・会社は平気で「ボーナスを上げると配当が出なくなる」とぬかしやがる。
「成果主義は成果の低い人の給与を下げたり据え置くこととに主眼を置くのではなく」・・人件費減らしにしか見えない。
「直属の上司が信頼されていなければ、『あいつに評価されるのは、まっぴらだ』という拒否反応が広がる」・・然り。
「ベテラン社員の言い分は、若手のとき給与が仕事の量と質に対して低く抑えられていたので、
そのぶんを現在もらっているという側面があった。
急に『では、現在の仕事に応じて、給料下げるからね』と宣告されたら、
『それは約束が違う』となる。」 ・・・まさしく、そのとおり。
「バカ社長やダメ上司に囲まれて、やる気が上がらず『報われていない』という不満に取り憑かれると
悪循環を脱せない。」 ・・・まさに、そうなった。
「上司と部下の相性が悪ければ、部下は力を発揮できない。
異動したとたんに士気が下がって成績が悪くなるケースもよく見かける。
対立関係があるとき、天使のような部下に不真面目でセンスも悪く、
人格が歪んだ悪魔のような上司がつく気の毒な状況の場合もある。
部下はなかなか成果が上がらない。そこで「自分の将来真っ暗だ」と思っても仕方ない。
苦境で腐ってモチベーションを下げると、スキルも磨けないし、心も荒んでいく。」
・・・この筆者、いつの間に私の職場を見た?(笑)
「ある程度きちんとした会社ならば、悪魔上司はいつかはいなくなる。」 ・・・きちんとしない会社なので、なくならないw。
「成功したから失敗が始まる」・・・言い得て妙。
「上司と部下が相互不信に陥ると、創造的な価値が生み出せなくなる。
部下の側は『あいつには、尽くし甲斐がない。何かことがあれば、裏切られる』と感じる。」
・・・この筆者、いつの間に私の(略)w。
「自分の病気は自分で治せ。自分の運命は自分で開け」・・・良い言葉だw。
……とまあ、首肯できる点が山ほどあるのではあるが。
「論」とタイトルに書いてある割には、エッセー扱いにした。
(根拠・典拠なき主張は、基本的に「テキスト」ではなく「エッセー」扱いにしているため)
……次回作として「パワハラ上司取扱い法(パワハラする側・される側の徹底研究)」なんてな書籍を期待したいw。
上司の理想は、「ただの人」
★★★★★
どんなタイプのダメ上司がいるのか、そんな彼らが組織にどんな影響を与えるのか、
ダメ上司のタイプ別に分析されています。
ダメ上司の不適切な管理、行動が、最終的に会社の利益を損なう結果とならないようどうするのか。
著者の理想は、「ただの人」とのことですが、卓見です。ただし、「ただの人」とは、柔らかい口調で、訥々と話していても、
なぜか畏敬の念を抱かせる人物です。話やすさを持ちながら、規範をしっかり持っている人物です。
ほとんど、そうした人物に出会ったことがありませんが、「ただの人」となるためには、
日々、謙虚に自己を省みる必要があると思います。
タイトルがタイトルだけに、会社の中で開くことができませんでした
★★★★★
タイトルから類推すると、「日本には部下から見たダメ上司がたくさんいるので、どのように自己防衛を図るか、どのように突き上げるか」的なことが書かれているかと思って読み始めましたが、「どうすれば”いい”組織を築くことができるか」ということについて、上司・部下双方の視点から建設的な内容で書かれており、非常に参考になりました。
前半では、上司の役割とは?、なぜ上司が部下より高い給料をもらっているのか?優れた上司とは?といったことが議論されています(一方でダメな上司の事例も挙げられています)。
そして後半には、社員自身がどのような意識を持って仕事に取り組むべきか、物事がうまく運ばないのときにまずは自分のせいだと考えることができるか、といった、具体的な行動指針のようなものが示されています。
そして、最後の方にある一文が最も印象に残りました。
”突き詰めて内省していけば、「相手も、『相手のせい』だと考えているに違いないが、そう考えさせているのは、結局は自分のせいなのだ」と考えられるようになる。こういう考えを、(上司・部下)どちらか一方でも持てるようになれば、トラブルは解決に向かう。”
つまり、上司・部下どちらか一方が100%正しいというわけではないので、お互いに信頼感を持ってコミュニケーションを図っていくことがいかに大切か、という基本的なことを再認識できました。
人を残す人生こそが上
★★★★★
初っ端から「その通り」と感じる事例がいくつも紹介されていて、笑うに笑えないままに、一気に読了しました。
基本的には部下に対して性善説で対応し、自分で考えさせ、達成感を味あわせる。そのための具体的な対策や対応も記載されています。もちろんある限界点からは性悪説で対応を要しますが。
私自身は、本書で紹介されいてた後藤新平の言葉(P.142):「・・・人を残す人生こそが上・・」というのが一番心に響きました。売上や成績ではなく、迷った時の最後の判断基準として素晴らしい考え方だと思います。
部下も反省する
★★★★☆
ダメ上司論を読むとき、
「そうそう、こういうダメ上司いるいる!」と笑いながら読む部下がいたと
したら、それは本当にダメ部下かもしれないと思います。
第5章では、すべては内省からはじまる と題して、使えない部下には、自分
から反省しなければならないと書かれていますが、それを部下は上司の言葉通
り受け止めて、「そうそう、その通り」と思うのではなく、「気が利かない部
下だった」と部下自身も自省しなければならないと思うからです。要するに上
司も部下も思いやりという気持ちが根底にあってはじめて信頼関係が生まれる
わけです。わたしはこの本をそんな風に読みました。