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経済学という教養 (ちくま文庫)

価格: ¥882
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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経済学を教養として眺めてみると、経済学者同士の感情的泥仕合に巻き込まれずに冷静に経済学を理解できます ★★★★★
労働賃金を自由に下げられれば失業なんて発生しないんですよというミクロ経済学。

そんなことを言ってもむりだから、公共事業をやったり金融政策を行ったりして政策的にインフレを起こし、名目賃金が下げられなくても実質賃金を政策的に下げていくというやりかたでがまんしましょうよというのがケインジアン。

しかし、不況とは人々や企業が具体的なモノ・サービスよりも貨幣の「何でも買える力」という融通無碍な力を欲する「流動性選好」が強まったことによりおきるものであると考える説では、労働賃金の硬直性による価格硬直性がが解消しても、有効需要不足はなくならないp.82。

これを解消するには、「人々があえて財布のヒモをゆるめて買いたいと思うような魅力的な商品がないp.83」状態を「新しいモノ・サービスの開発とそのビジネスの立ち上げp.83」によって変えていくことがカギになり、それは正当説では自由競争が、異端説では産業政策がそれを促すことが期待される。

しかし、そもそも「不確実性から身を守るためp.84」に人々の流動性選好があるのであれば、人々の期待の質が変わり、大胆にモノを買い、投資をすることでしか不況は解消しないのだから、「通常の経済政策手段によってこういう目標を実現することはできそうにない。p.89」という説もある。

自然科学と異なり、経済学ではそれぞれの学者・エコノミストたちがそれぞれ様々な説を述べていて、一向に意見が一致してこないのだが、議論の土台となっている部分は共通の認識がかなりあることがわかる。

経済学の説の中には結構我々の実感と近い考え方の説もあるということがわかりほっとする。大量の推薦文献も学習の手引きとなる。
やっぱりおもしろい ★★★★★
東洋経済新報社から出版された単行本版を既に読んでいたので、文庫版の購入は迷ったのだが、単行本版にはない補章と小野善康氏による解説読みたさに思い切って購入してしまった。改めて最初からじっくり読んでみたがやはり購入して良かった。稲葉氏の著書は何冊か購読しているが、個人的にはこの著書が最も好きだ。「素人の、素人による、素人のための、経済学入門」というほど内容は簡単とは思わないが、マルクス経済学、新古典派、ニューケインジアン等それぞれの経済学の立場がよく整理されているように思う。現代思想等が本来のフィールドなのだろうが、こういった経済学方面についてももっと書いてほしいと思う。
社会派のための ★★★☆☆
単なる経済入門書と思って読むとかなりジャンルが違う。

いきなり書き出しから、ポストモダーン、左翼、マルクス資本論とか飛び出してきて、そういった社会派というか、不平等社会に対抗して、とかの問題意識を持ってないとちょっとついていくのは難しい。

そういった意味で、素人のための経済学、ではなくて、”社会派思想家のための経済学”の観点でとらえないと背負い投げをくらってしまう。

ビジネスマンのための経済学を期待するなら、ジャンル違いだ。
シバキ主義、この、人文系ヘタレ中流インテリ(もどき)の隠微な楽しみ ★★★★☆
 著者は「市場とは本来的に共存共栄の場であり、弱肉強食の場となるのは縮小局面」という立場から、「市場経済内の不平等は重要性が低い。マクロ的不況の回避こそ市場経済が社会状態をパレート的に改善できる前提」(p260)と結論するが、これは同じ著者の『「資本」論』でのロックvsホッブスの対立構図と同型。ロック的自然状態が「無限の大地」を前提したように、共存共栄の場としての市場は「無限の時間と資源」を前提とし、この前提は「技術水準の無限の向上」に賭けることでしか維持できないだろう。

これに対するエコ派的な批判には、著者は歴史的経験に立って、退却路線が前進路線以上に悲惨な事態を招来する可能性を論じるだろう。仮に倒れるにしても前のめりに、という話で、ここには根深い世界観の対立が横たわっている。

ただ現今の不況の原因を不完全な市場、革新の不足、貨幣的な要因のいずれに求めるかの本書での議論は、決定的ではない印象。著者はニューエコノミーの蹉跌を貨幣的要因論の根拠とするが、ニューエコノミー論そのものが駄ボラだったのではないか?

景気浮揚の方策については、著者は「貨幣的ケインジアン」の立場から公共政策の問題とするが、他方で労働組合の賃上げ運動がもたらしうるリフレ効果にも言及し、ハッパをかけている。個人としてなしうる領分を確保したいという著者の意図は理解できるが、しかし労働組合だって実質的には公共セクターだろう。私としてはあまり元気が出ない。

著者の言うように個人的行為の重みがせいぜい投票用紙1枚分だとしたら、へタレ中流としては当面、シバキ主義の陰気な楽しみに耽るのも人生の一つの選択肢だろう。
そうはいっても ★★★★☆
 経済学は門外漢です。ので、感想文程度。
 読者としては、いまだに若干不安定感を感じる稲葉氏の啓蒙書。ただしかし、救われたところがあるのは事実なのですよ、著者のいう「ヘタレ中流インテリ」としては。中流国立大文学部で、自家中毒に陥ってた身としては。少なくとも、(この内容が空論かどうか判断つきませんが)誰かがやらんといかん本では「あった」と思います。
 癒し系です。自己を肯定してくれる書です。そんな本に励まされてしまった自分は、確かにヘタレと自覚した次第。で、何となく前向きになってみたりしたんです。