まあ凡百
★★★★★
ハリウッドが食傷気味にまきちらかした敵陣への救出作戦と言う紋切り型の話型をフランス娘が敢行してみる訳ではあるが...。こちらに渡ってくるソフィー・マルソー主演の映画はいつの間にか桃色専科と化していたキライがあり、好きな女優ながら「オレはそんなスケベでは...」という虚栄心に屈し、久しく敬して遠ざけていた次第なのだが、こんなに存在感と演技力のある女優であったとはこの映画で久々拝見するまでついぞ気付かなんだ。信仰告白をするなら、私の購入動機は共演のマリー・ジラン姫様の美しさに浴したいと言うその一点にのみ存じていた次第なのだが、ソフィー・マルソーのその凛とした美しき佇まいの許、御贔屓のマリー姫様がかすんでしまった様な...。救出作戦の意図云々が劇中最後に語られると言う作劇上の構成もあるのであまり多くは語るまいが、現代を生きる女性諸子にとって、多分もう「戦友」というのは普通に隣にいる存在なのだろうとは思うけど(戦闘者以外はビジネスの現場には居てくれるな、とでも言いたげな職場しかこの国に見当たらなくなって久しいし...)戦場と言う酷薄な環境下で、それでも尚友だちを手さぐりで掴み取るための女の子たちなりの作法と努力とその行く末と...、でも、戦場に悲劇以外なにかあったためしがあったのだろうか?
女性たちの屈強な勇敢さにアツく心を打つ。
★★★★★
生々しい衝撃的なシーンが結構あって、戦争の惨たらしさというものが脳裏に焼きつきます。
戦争アクションという、そういうジャンル分けで観る映画ではないと思います。
女性を武器に利用して、情け容赦ない重要な作戦に駆り立てたこと、女性兵士はミッションを全うするために命を懸けてやり遂げることといい、ひとつの女性のドラマが展開するのです。
決してドライな展開ではなく、湿潤な悲劇とも言える非情な展開に心を打つものがあると思います。
いずれにしても勇敢な5人の女性兵士の物語。
フランス映画でこういった戦争ものをはじめて観ましたが、アメリカ映画にあるようなヒロイン気取りは決してなく、残酷的な生々しい描写により、悲惨な戦禍を身を以て表現しているようです。
実話ということですが、脚色はかなりあるかと思います。
ソフィー・マルソーは確かにその魅了される美しさに惹かれてしまいますが、この作品では正義感が強く、果敢に責める闘志の逞しさをずいぶんと見せています。
それ以外の女優さんは存じ上げませんが、いずれも個性豊かに好演しており、なによりも美貌の持ち主です。
邦画タイトルがあまりにも軽々しくそぐわないと思います。
女性たちが本当に身を挺した熾烈な戦いであることを知り、この作品の中身は心を打たせる、すごく奥深いものであることに気づくことでしょう。
5人の女性の勇気を称える物語
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私には、1999年「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」以来のソフィー・マルソーだった。40歳も過ぎ、ますます女盛り。
あの有名な「ノルマンディー上陸作戦」が行われるためのフランス側の物語。その「大事」の為に集められた個性豊かな彼女ら5人が敵中に入り込み、それぞれ得意分野をフルに使う。とは言っても、やはり全員が、何処となく「女」を武器にしていたようには思う。スナイパー・ルイーズ以外は軍人ではない。素人集団といってもいい彼女ら一人一人がどの様に危機をのりこえるか、どんな運命が待っているのか、そこが見所であったといっても過言ではなかろう。精一杯がんばったうえでの「か弱き女性」の部分も、自然に受け入れられた。この作品が胸に迫ってくる大きな理由の一つではないか。結果的に負けてしまう者の哀しみが、そのままこちらに伝わってくる。
冒頭の白黒フィルム部分で、普通のオバチャンたちがピストルを握っている姿があった。ああ、戦争ってこういうもんなんだ。心に浸みた映像だった。
「女性版ワルキューレ」という宣伝文句を見たが、ナチに挑むという意味では同じともいえるが、これは微妙に異なると思う。「5人の女性の勇気を称える物語」だ。