タイトルの通り、この本は社会的選択理論(social choice)の鳥瞰図である。ページ数が少なく、そんなに時間をかけずに読むことができる。注がかなりあり、その後の学習につながる。
ただし紙面の都合上、注が一括して最後に載せてあるため非常に読みづらい。
あくまで社会的選択理論素人が、社会的選択理論ってどんなものなんだろうと思って読むのなら、本書に勝る本はないのではないか。

政治学の視点から包括的に社会選択理論をまとめた概説書。近年のトピックも取り上げており、参考文献もしっかりしており有益。しかし、やはり文科系の学者だからなのか、本文中の数式や数理的な部分での誤植や勘違いが多く、また定義・定理・証明の流れがわかりづらく読者を混乱させている。