荘子の教え
★★★★☆
荘子は紀元前三世紀ごろの人だと考えられています。
当時の中国は戦国時代であり、国々が激しい争いを続けていました。
そんな時代だからこそ何をもってすれば平和な時代が訪れるか、上は王や諸侯から下は奴婢まで希求するのは当然でしょう。
諸派百家と呼ばれるほど多くの思想集団が、この時代に登場したのは、そうした背景からだと思います。
洋の東西問わず、動乱の時代ほど人々は泰平を切望し、そのために何を為すべきかの方法を索求するものですから
思想集団としての荘子は、成立当時の規模は儒家や墨家のように大きなものではなかったと考えられていますが。
其の後の時代まで継承され、歴代の荘子学派の人たちによってその思想が完成していったものとされています。
荘子が自ら著した、荘子の原型にもっとも近いのは、内篇と考えられ
それ以外の外・雑篇などは後代の荘子学派の研究の末に書かれたものですから。
内篇とは内容的に違いもありますが。
外篇になれば荘子の内篇と違い、世俗的なものが多くその教えを現実的に受け入れる事が重視されているようです
本書は原文と口語訳そして現代語訳が記されているのみで注釈がありませんから、理解が難しいところがありますが
私の古典の師が言うところによれば、古典の書は原文から入れとの事です。
古典は読み解き感じ取る事が重要であるから、最初から原文を読んで、そこの何が書かれているか深く思案して理解することが出来るからだそうです。
ですから、あえて注釈抜きで勉強するのもよいかも知れません。
外篇もなかなか
★★★★★
外篇は内篇に比べて内容がまちまちで、
内篇とはまるっきり離れたことも書かれているのですが、
そこは玉石混交ということで
秋水篇など、内篇もかくやと言うような優れたものもあります。
そもそも荘子の万物斉同の立場からすれば
内篇も外篇も雑篇も等しく評価されてしかるべきなのです。
ちょっと言葉の使い方を間違えてる気がしないでもないですが、
僕はそう思います。
また外篇には
いい意味で浮き世離れしがちな荘子の思想をもって
なおかつ"現実と妥協する"ことについても説かれているので、
内篇を読んで
「たしかにいいこと書いてあるけどさぁ…
これじゃただのいい話じゃないか。」
と突き放しそうになった人でも安心して読めます。
内篇の注釈のように読んでみて、
自分なりの荘子観を作ってみてはいかがでしょうか?